ドイツの電力事情を理解するには ーEU内におけるドイツの電力事情―

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2019/11/13

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メルマガ第49号で加藤秀司さんへのインタビューを配信したところ、1967年からドイツ在住でベルリン自由大学にて教鞭を執るかたわら脱原発運動を続けていらっしゃる原自連読者福澤啓臣さんから原稿が送られてきましたので、ご紹介いたします。(木村が10月に渡独した際にお会いしています)

ドイツの電力事情を理解するには
ーEU内におけるドイツの電力事情―
福澤啓臣

<国ごとの大きな湖があり、たくさんの川が流れ込み、また流れ出ている>
EU内の電力事情を理解するには、それぞれの国ごとの電力網を大きな湖と想像してほしい。その湖には何百本もの川から水(電気)が流れ込んでいる。そして同じように消費者に向かって何百本もの川から水が流れ出ている。さらに国ごとの湖と湖の間を何本かの川がつないでいる。だから、例えば、ドイツの再エネ電力小売り会社がスェーデンやオーストリアから水力発電によるグリーンな(自然エネルギー)電気を購入し、販売することもできる。ただし、川のキャパ(流量)は多くないので、外国との電力売買は量的に限られている。

<ドイツの電力事業の歴史>
第2次世界大戦後の事業形態としては発電から送電、さらに配電と小売まで一社で取り扱う独占的な8社体制が確立された。電力事業には、競争が成立しにくいので、このような独占体制が適切と見なされ、1998年の自由化まで続いた。

自由化のきっかけは、1996年に出されたEU(欧州連合)からのエネルギー市場自由化の指令であった。この背景にあったのは、80年代以来世界中に広がった自由化の波である。自由化により競争が生じると、コストパフォーマンスが良くなり、商品が安くなって、消費者が得をするという考えが世界的に広まった。

EU自由化指令が出た後、ドイツでは1998年以来エネルギー事業法の整備が順次行なわれた。まず発電と小売部門が自由化される。次に2011年に送電網が大企業の所有から切り離されて、中立化された上で連邦ネットワーク庁(経済省)の管理下に置かれた。反原発の運動は、すでに70年代から原発建設予定地などで始まっていたが、全国的に広がっていったのは、1986年のチェルノブイリ事故以降である。

ドイツでは1991年に再生可能エネルギーのフィット(固定価格買取制度)が世界に先駆けて導入された。再エネ電力が十分一人歩きできるようになったので、2014年から入札制度に切り替わった。

日本と違うのは、中立化された送電網( 4つの企業が全国の送電を管理している )と自治体の地域配電網である。地域配電網は自治体自ら管理している場合もあるし、企業に委託している場合もある。20年ごとに自治体が決める。90年代の自由化の風が吹いていた時に売りに出した地域配電網を買い戻す自治体が最近増えている。この頃日本で知られるようになったエネルギー都市公社にはピンからキリまであり、最大のミュンヘン・エネルギー公社などは年商数千億円もある。小規模のエネルギー都市公社には発電から 地域配電、さらに売電まで一貫して手がけているのもある。

<ドイツの電力売買>
ドイツの電力売買には、三つのカテゴリーがある。もっとも多いのは 相対取引(取引所を経由しないで、直接に取引する先物取引)で、全体の7割から8割を占めている。残りは二つの取引所を経由する売買である。将来の電力を取引する先物取引所(6年先まで)はライプチッヒにあり、ドイツ、フランス、オーストリアの電力を扱っている。48時間(二日間)分のスポット取引はパリの取引所で行われる。ここで扱われる電力は、グレー(灰色)電力とされ、再エネ発電によるグリーンな電力も原発による電力も区別しない。

ちなみに価格だが、相対取引によるベース電源が最も安く、スポット取引のピーク時が最も高い。

<パリのスポット(2日前から15分前まで扱う)電力取引所>(https://www.epexspot.com/de/
パリのスポット取引所ではドイツ、フランス、英国、オランダ、ベルギー、オーストリア、スイスの電力が取引されている。ちなみに2019年10月27日のピーク時価格(€/MWh)を紹介すると、上記の国順に、33.27、36.47、38.76、34.07、36.90、34.52、52.72となっている。ドイツがもっとも安く、スイスが最も高い。ちなみにドイツは電力輸出国である。
この7カ国を合わせた電力はEU内の電力の85%を占めている。

<消費者にとってドイツの電気はとても高い>
取引所におけるドイツの電力は安いのに、消費者価格はEU内でデンマークに次いで高い。2018年現在1kWhで 29.43セント(37.17円)である。内訳を見てみよう。まず発電コスト:19.3%、送配電託送料とメーターの料金:25.6%、配電委託料:5.7%、消費税:16%、フィット賦課金:23.6%、電気税:7.0%、その他:2.8%。このように実際のコストは50%弱で、賦課金や税金などが54.2%も占めている。

<再エネ電力小売り企業は太陽光や風力による再エネ電気を販売していない>
ドイツには再エネ電力小売り企業がたくさんある。彼らはグリーン電力を売り物にしているが、太陽光や風力による再エネ電力は販売していない。彼らが売っている電気は主に相対取引によって購入された水力発電によるグリーン電力である。それもオーストリアやノルエーやスェーデンなどの水力発電所が発電した輸入電気である。南ドイツの山岳地帯の水力発電からも購入している。

太陽光や風力による再エネ電力は天気次第なので先物取引には向かないし、スポット取引所での電力は発電源を区別しないグレー電力だから、グリーン電力として販売できない。バイオマス電力は先物取引もされている。

<ドイツの電力エネルギーミックス(2018年発電レベル)>
最も多いのが再エネ電力で40.2%、石炭と褐炭で38.2%、原子力13.3%、天然ガス7.4%である。再エネの内訳は風力が50.3%、太陽光21.2%、バイオマス20.7%、水力7.8%である。風力が半分を占めている。それとバイオマスが太陽光と拮抗しているのもドイツの特徴だ。

<7基の原子力発電所による電力は全体の11%>
2018年現在ドイツでは7基の原子力発電所が稼働中で、総発電量の13%を占めている。2022年に全ての原子力発電所のスイッチが切られる。ただ、最近稼働期間の延長を求める声が高まっている。ドイツの原発の運転期間は約30年なので、日本やフランスなどの40年、あるいは60年に比べて、まだ十分使えるし、安全だと主張している。

<太陽光および風力発電と蓄電池のセットでバーチャルな発電所>
再エネ電力会社は数年前から太陽光発電パネルに蓄電池を付けてセットとして販売している。スマート・メーターがさらに加わり、自家発電された電気をまず自ら消費し、さらに電気が余った場合には、販売する。さらに太陽光発電と蓄電池のセットを数千、数万と結んで、大きなバーチャル発電所として機能させている。Sonnen(太陽の複数形)という会社は現在までこれらのセットを13万軒繋いでビジネスにしている(Sonnencommunity)。太陽が輝き、風が強い日には、どんどん発電できるが、送電網が一杯になってしまうと、受け入れてもらえない。このような場合には、コミュニティーの蓄電池に貯めておける。そして需要がある時間帯に、高い価格で売電することができる。

ドイツ最大(顧客数60万軒)の再エネ電力小売り会社Lichtblick(雲間から差し込む一条の光)は同じように数万軒を結んでSchwarm(群)と名付けている。こちらはさらに一歩進めて、送電網が一杯になり電気を捨てなければならなくなった時に、その余剰電気を無料で蓄電している。送電会社にしてみれば、ドイツではカットした再エネ電気にも料金を支払わなければいけないので(その金額が昨年は400億円ほどになっている。最終的には賦課金に算入される)、御の字。受け入れ側にしてもタダで電気がもらえるので、こちらも御の字。これで両者がWin, Winになる。これまではこのような余剰電気は水力発電所に頼んで、つまりお金を払って、揚水発電をしてもらっていた。

<将来のカギを握るブロックチェイン技術>
「コミュニティー」や「群」のような分散型の電力ネットワークの発展に最近寄与しているのが、ブロックチェイン技術である。この技術は中心になる司令塔、つまりサーバーがなくても機能し、一軒ごとの発電、給電、受電状況が記録でき、明細決算に役立つ。つまり、再エネ発電とブロックチェイン技術が結びつくことによって民主的電力網が成り立つ。さらにこの数多くの蓄電池をブロックチェインで結んだコミュニティーが巨大になれば、ドイツの送電網が抱える大きな問題がある程度解決できるかもしれない。

現在風力発電は北ドイツ(全くの平地)に多く、電力の需要は南ドイツ(山が多い)に多い。この二つの地域を結びつけるには800 kmもの長距離高圧送電網が必要だ。数年前からその建設を進めているが、地域住民の反対などに遭って、相当部分が高圧送電線を地下に潜らせなければならなくなった。それはコストに跳ね返っている上に、当初の計画(脱原発する2022年に完成予定だった)通りに建設が進んでいない。現時点では2025年完成予定。

例えば、風力による余剰電力を北ドイツのコミュニティーに貯めておいて、送電網が空いている時間帯に南ドイツのコミュニティーに送るのだ。

<再エネ電力業界を覆い始めた暗雲>
ドイツの再生可能エネルギーの将来は去年まで輝いていた。ところが、今年に入ってから暗雲が漂い始め、将来を危惧する声が高まっている。まずこれまでの成果を見てみよう。

総電力消費量に占める再エネ電力消費の割合が2019年は42%に達するだろうと連邦エネルギー・水力経済連盟がつい最近発表した。2030年の目標である65%は達せられそうな途中経過数字だ。さらに2019年の再エネ電力による電力量:1830 億KWhは、褐炭と石炭による電力量:1250 億KWhを大きく引き離している。

これまでに建てられた太陽光の定格出力は48000 MW、風力は53500 MWである。原子力発電所の定格出力は主に一基1000 MWである。原発は一応24時間連続運転ができるとされている(実際は点検、故障もあるので効率は下がる)のに対し、太陽光の稼働効率は平均すると12%、風力は25%といわれている。単純に換算すると、それぞれ原発の6基分、13基分に相当する。

ところが昨年まで順調に伸びてきた再エネ電力の建設の進み具合が今年に入ってグッと遅くなっている。2019年9月の風力の入札公募額500 MWに対して落札されたのは176 MWに過ぎない。この5年間の平均建設速度に比べて80%も遅くなっている。このままでは2030年の65%の目標は達せられそうにない。

その原因として建設面積の不足(広大な平地にもかかわらず)、長期化する許認可の手続き、さらに住宅地域からの最低立地距離(州によって違うが約1km)と地域住民(右翼党「他の選択肢党」などが組織している)の反対などが挙げられている。

<見逃されやすいドイツと日本の地理的条件の違い>
ドイツに長く住んでいて、日本からのお客さんにドイツの再エネの素晴らしい進展状況を見せると、なぜ日本は少ないのだろうかとよく聞かれる。筆者の見るところ、地理的な条件の違いが意外と見逃されているように思われる。簡単な数字だが、日本における平地面積は国の27%、ドイツは76%である。つまり、太陽光発電や風力発電用に転用できる面積がドイツでは圧倒的に広い。日本からの友人を乗せて北ドイツを案内したことがあるが、アウトバーンを走りながら、見渡す限りの平地に数百本もの風車が林立しているのをみて、彼は「日本ではあり得ない」と絶句していた。日本では平地があれば、人が住んでいるか、工業地帯か、耕作地である。山岳地帯に再エネの発電施設を作る場合には、コストとして跳ね返ってくる。それと将来期待されている洋上風力発電だが、ドイツの海は北海もバルト海も遠浅で数十キロ沖合でも数十メートルの深さに過ぎないから、急峻な地形の日本の海に比べて、風力用の鉄塔建設において技術的にも費用の面でも大きな違いが出てくる。バイオマスにおいても、建設費用(一億円以上)はドイツの中規模の農家(平均耕作地60ヘクタール)が十分出資できる範囲である

<市民社会が推進力>
それと脱原発とCO2の削減を求める市民社会にも大きな違いがある。今年に入って巨大なうねりになったスエーデンのグレタ・トゥーンベリ さんが始めたFreidays for Future運動はドイツの若者の間で燎原の火のように広まり、9月20日(金曜)には140万人もが参加した。緑の党は今年に入ってからの選挙で得票率が倍にも増えている。2030年の目標の達成にやる気を出さない政府与党(キリスト教政党と社民党)の得票率は減るばかりである。特に若者の間で。

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メルマガ44、45号でも福島第一原発を視察した報告を配信しましたが、今回は主催した下村満子さんからのレポートです。かなり長いですが、全文掲載いたします。

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『福島第一原発事故サイトと中間貯蔵施設を視察して考えたこと』
下村満子

先週末、2泊 3日で、私が主宰する「下村満子の生き方塾」の夏合宿で、いわき市に隣接する福島県楢葉町のJビレッジに2泊3日し、塾生40余名を引き連れ、今年8月からやっと廃炉作業が始まった福島第一原発内の視察と、8年間の除染作業の結果、居住地域の庭先や田んぼなど、至るところに、黒い袋に入れられ積み上げられていた膨大な汚染ゴミの「中間貯蔵施設」と称する所に入り、現場を視察した。この「中間貯蔵施設」は、環境省のコントロール下にあるが、ここに入る許可を得た民間グループは、私たちが初めてだと言われた。

F1に入ったのは、私は、これで2度目である。
その時以来、オリンピックに向けて安倍首相が発信した「FUKUSHIMAは、Under Control」と言う言葉は、「全く嘘」という現実を、塾生たちに体験させたいと思ってきた。今回、それがようやく実現した。

「生き方塾」の応援団の1人であり、塾生でもある株式会社エイブルの佐藤順英社長は、現在、福島第一原発の、世界に類を見ない困難な廃炉事業の先端を担っており、大変苦労している。通常、こうした大事業は、ほとんど大手ゼネコンが請け負っているが、エイブル社は、F1から15キロほど南に位置する地元広野町に本社を置く、地元企業である。もともと、原発事故の起こった大熊町に本社があったが、事故で全てが吹っ飛び、全てを失った。が、地元を何とか復興させたいという強い思いで頑張っており、「報道ステーション」でも紹介されている。

そうした佐藤さんのツテもあるので、以前から、なんとか塾生たちに「現場」を体験させたいと、2人で話し合っていたが、今回それが、やっと実現した。ただし、東電からは、40人以上は受け入れられないと言われていたので、今回の合宿は、申し込み先着、40名までとしたところ、2日間で、あっという間に定員に達し、参加できなかった塾生も沢山いた。

吉原毅原自連会長、佐藤弥右衛門さん、湯川れい子さんは、いずれも私の「生き方塾」の応援団になっていただいているので、参加をお呼びかけした。皆様、事前勉強会や、視察後の勉強会では、それぞれ大変インパクトのあるお話をしていただき、塾生たちに沢山の学びと大きな影響を与えて下さった。

吉原さんも湯川さんも、私よりはるかにフットワークが良く、すでにそれぞれ素晴らしい一文を原自連に寄せておられるので、今頃私が、と思ったが、「生き方塾」は、東日本大震災及び福島原発事故が起って、わずか1ヵ月後に、「命とは何か?」「生きるとは何か?」という、「人間の根本問題」と向き合う塾として、両親の故郷、先祖伝来の地である福島で立ち上げたものであり、「日本人の『心の再生』と『地方の再生』なくして、日本の再生はない」という強い思いから始めたものだった。福島のDNA、100%の私にとって、原発事故は衝撃的だった。
が、壊滅的になった福島は、ちょうど敗戦後の日本のように、新しい日本を生み出す1つの契機になり、原動力になるかもしれない、という前向きな期待も持った。

あれから8年半、私にとっては、2度目の、丸1日の、F1視察体験だったが、まず一言で感想を述べるならば、「疲れた」「虚しい」「一体、ここで行われている事は、何なんだ?」ということだった。「疲れ」は、肉体的なものではなく、「精神的な疲れ」だった。

「中間貯蔵施設」というのは、皆様ご存知の通り、放射能で汚染された莫大な除染ゴミを、30年間置いておく、「仮置き場」である。しかし、この「仮置き場」をどこにするかを決めるのに何年もの時間がかかり、その間、汚染ゴミは、いたるところに積み上げられて放置されていた。ようやく、この1、 2年、少しずつ「中間貯蔵施設」への運び込みが始まったが、その場所は、放射能汚染がひどく、ほぼ永遠に帰還できない住宅地や田畑などの広大な土地で、説明によると、東京ドームが350個入る位の広さ、別の説明によると、渋谷区全体位の広さだということだった。「施設」という言葉のイメージとはまるで程遠い、人の住めなくなった、人が近寄ることのできない、隔離された広大な地域、といった方が当たっている。

私たちは、その広大な地域の中を、バスで移動しながら視察した。
大型トラックで運び込まれる汚染ゴミを、燃えるゴミ、石ころのようなもの、土などに仕分け、燃えるゴミは焼却され、土は盛土として15メートル位の高さに積み上げられていく。30年は持つという丈夫なシートを敷き、その上に土を盛り上げていくので、汚染が下に漏れることは無いという説明だった。

汚染ゴミを全てここに運び込むのに、2023年位までかかるとのこと。ここは中間貯蔵施設なので、ここに埋め立てたすべての汚染ゴミを、30年後までに(実際には、すでにこの施設が開設されて5年目になるそうなので、説明員に言わせると、25年後だ)この広大な土地に盛られたすべての土やその他の汚染ゴミを、別のところに移動させるなど、誰が考えたって不可能としか思えない。

「そんなこと誰も信じないでしょ。嘘だとはっきりわかっていることじゃないですか。渋谷区ぐらいの広い場所をどうやって、どこに探し、この膨大な汚染土や汚染ゴミをどうやって掘り返し、どうやって別の場所に持っていくのですか? 結局、ここは『中間貯蔵施設』ではなく、『永久放棄地』になるのですよね」と言ったら、その説明員は、何も答えず、ちょっと笑っていた。

「中間貯蔵施設」の視察で、もう一つ印象的だったのは、この広大な領域のあちこちで、大きな建物や設備を作り、巨大なクレーンや機械、その他の機器を使って作業をしているのは、全て、鹿島、清水、大林といった大手ゼネコンであることだった。結局、こうした原発事故の後始末は、大手ゼネコンの「稼ぎ場所」となっている、これまでと変わらぬ光景だった。
ここで毎日、4000人余の人々が働いているという。

福島第一原発事故サイト(F1)内の視察では、この8月1日からようやく始まったばかりの廃炉の現場、汚染水の貯蔵状態、作業の現状等々を見た。
この中に入るまでが一騒動で、1ヵ月ほど前までに名前の登録、住所、連絡先、職業等等の個人情報と、免許証やパスポート等の写真付き身分証明書を事前登録し、それと同じものを持参し、入る前に提示する。その後も、海外旅行で出国する時よりもはるかに複雑なチェックがある。カプセルの中に入れられ、暗証番号を押させられたり、金属探知機のチェック等、よく覚えられない諸々の検査があった。
実は、中間貯蔵施設に入る時も同様に、事前登録した身分証明書を提示し、さらに施設から出る時にも、再度同じ身分証明書を提示する仕組みになっていた。

昼食は、作業員と同じカフェテリアでとったが、やはりチェックがある。

F1内に入ると、これまた広大な土地に、6基の原子炉が立っており、爆発した4基の原子炉の近くまで行き説明を聞いた。

前回視察した2年ほど前には、汚染水を貯蔵したタンクが積み上げられてはいたが、まだまだ土地には余裕があるように見えた。が、今回は、前回広く見えたF1内には、汚染水が入ったタンクが林立し、また、廃炉のための様々な機械、機器があちこちに置かれ、新しい設備、建物などが建てられており、かなり満杯状態のように見えた。東電の説明員の話によれば、2年後ぐらいには、汚染水タンクの置き場がなくなる状態だとのことだった。「その後どうするのですか?」と聞くと、「それは政府や、上の方が決めることなのでわからない」とのこと。今のところ何も決まっていないようだ。

ここでも、およそ4000人の人が毎日働いている。外から見ると、そんなに大勢の人がどこにいるのだろうという感じだが、おそらく建屋内や、外からは見えない内部の危険な場所で働いているのだと思う。

前述した、塾生・応援団である佐藤順英社長率いるエイブル社の廃炉作業も見えた。巨大クレーンの先にカッターのようなものを付け、排気筒を少しずつカットして低くしていく作業だそうだ。このために作業員は、長期にわたり仮想現場を作り訓練をしてきたが、やはり仮想空間と現場とは違い、大変苦労をしているようで、作業は全体に遅れている。

中間貯蔵施設で4000人余、第一原発内で4000人余、計8000人余りの人々が、毎日、原発事故の後始末のために、黙々と一生懸命、健康被害の恐れのある現場で働いている。

前回訪れた時は、F1内で、6,300人働いていると聞いたから、少し減っているのかもしれないが、原発事故の起こった2011 年から今日までの8年半に、ここ事故現場で働いてきた人々合計は、一体何人になるのだろう?

作業員ばかりではない。ここに投入されてきた資金、優秀な頭脳を持つエンジニアなどの人材、その他多くの労力、エネルギー、精神力等々は、気の遠くなるようなものだと思う。しかも、8年半経ってやっと、廃炉作業が始まったばかりであり、中間貯蔵施設といわれるところに汚染ゴミが運び込まれ始めたのである。これは、福島原発事故の後始末のほんの始まりに過ぎない。これから先、何年かかるのか?  50年とも100年とも言われる。

この隔離された広大な領域で、毎日8000人もの人々が汗水流して働いている事を知っている日本人は、ほとんどいない。ここは、8000人の人が働いている、「隔離されたゴーストタウン」だと、私は思った。

天井なしの莫大なお金と(およそ毎年2000億円のお金が、これら関連事業や地域に投入されているという)、マンパワーと人材、技術とエネルギーが、単に1つの原発事故の後始末、つまり、事故で生じた無限大のマイナスを、何とかゼロに近づけるための、果てしない作業に費やされているのだ。しかも現場の作業員や技術屋さんや担当者たちが、どんなに一生懸命、必死で働いても、どんなに頑張っても、決してゼロには到達できないことがわかっている作業だ。むしろ、やればやるほど、更なるマイナスが生じてくる。しかも、誰も、ここでやっていることを評価しない。気の毒なことに、何の罪もない、ここで働いている人たちも、評価されない。どんなにお金をかけても、どんなに人材や人を投入して頑張っても、何一つ生み出さない、非生産的な仕事である。モチベーションも出ようがない。

これだけの人と人材、技術、資金、エネルギーとパワーを、例えば自然エネルギーの開発というような新しい、未来志向型のプロジェクトや事業のために振り向ければ、どれほど多くのものを生み出すことができるだろうか、どれほど働く人々のモチベーションが上がり、やる気と頑張る気力が出てくるだろうか。おそらく無限に、生産的、創造的なものを生み出すことができると思う。

起こってしまった福島原発の安全な廃炉や汚染ゴミ、除染ゴミの処理は、どうしてもやらなければならない。
しかし、これだけの壮大な無駄、喪失、犠牲、それも物質的なものだけではなく、命、心、家族、故郷、平穏でささやかな幸せ、こうした金銭では取り戻せない、目に見えない、人間にとって最も大切な「価値」を失った福島の現状と現実を体験しても、なお、原発の再稼働を主張する人たちとは、一体何なんだろう? この人たちは、本当に「人間の心」を持っているのだろうか? 私が、F1の視察を終えて、精神的に疲れた、というのは、この虚しさと、やるせなさからくるものだったのだと思う。

元東京電力の副社長で、事故発生後発足した、福島復興本社の社長も勤めた石崎芳行さんは、昨年同社を退社し、残る人生は、原発事故の起こった福島の浜通り地域の復興のために、これからは住民と共に新しい街作りを目指し、出来ることは何でもしたいと、地元に居を移し、地を這うような努力をしている、純粋な方である。

福島第二原発の所長も務めたことがあるので、今回の合宿の、F1視察の前日の勉強会で、事故当時の事や、東電内の事情をよく知る立場で、塾生たちに話をお願いした。

事故発生直後に、何百という身元不明の遺体置き場に連れていかれた時の気持ちを話し始めた時、石崎さんは、声を詰まらせ、話を続けることができなくなった。うなだれ、咽ぶように話しを再開した石崎さんの姿を見て、私は心打たれた。

その後、塾生との質疑応答になり、今後の日本のエネルギー政策について聞かれると、石崎さんは「やはり、当分の間は、様々なエネルギーの組み合わせの中に、原発は欠かせないと思う」と答えた。
石崎さんには、以前私も、このことについて質問したことがあるが、その時も同じ答えだった。

私は石崎さんを、人間的に大変立派な方だと思っており、東電を離れた後は、公の場でも、東電の内部体質について率直な批判をされているし、原発事故についても、不可抗力の事故ではなく「人災」であると自分は思っていると述べている。あの時の大災害の犠牲者の遺体を見たときの衝撃と悲しみについて、8年後の今語るときにさえ、涙を抑えられないほどの優しい心の持ち主である石崎さんから、それでもなおかつ、「原発は当分必要」という答えが出るのは、私には理解できないのですが、と私は聞いたたことがある。ちなみに、石崎さんは技術系の人ではなく事務系の人である。

辞めたとは言え、元東電の副社長だったのだから、東電に遠慮して言えないのでは、と思う人もいるかもしれないが、石崎さんとはそれなりに長いお付き合いでもあり、その人柄を知っており、「おかしい事は、おかしい」と、ソフトだが頑固な口調で言う人なので、これは彼の信念なのだと、私は理解した。

吉原さんは、「ああいう善良な人が、ああいうことを言うと、マインドコントロールされてしまうので、かえって危険ですよね」と私に漏らしたが、逆に私は、東電の中にいると、石崎さんのような人でさえ、マインドコントロールされ、なかなかそこから出られないのだから、ましてや一般の日本国民が、「原発マインドコントロール」から目を覚ますのは、容易ではない、とつくづく、心から思った。

原自連は、一般の人々に対する、「原発なしで、私たちがその気になれば、自然エネルギーだけで充分やっていけるのだ!」というキャンペーンにもっと力を入れるべきではないか、というのは、以前から私が感じていたことではあるが、今回の合宿で、かなり優秀な、社会的にも活躍している、20代から70代という世代にわたる私の塾生たちの、原発や自然エネルギーについての「知らなすぎ」を改めて知り、塾長である私自身恥じいると同時に、トシである私はかなり疲れたが、塾生たちの感想文を読むと、一人一人が「人生観が変わった」「これからもっと原発や自然エネルギーのことを勉強し、未来の日本を自分たちの手で作っていこうと思った」「もっと、行動や実践をしていく」といったことを書いており、合宿が大きなインパクトを与えたことを知り、F1視察の合宿をやって本当に良かったと思っている。

吉原さんに教えて頂き、「文芸春秋」9月号の「福島第一原発は、津波の前に壊れた」という、元東電の、炉心屋と言われる木村俊雄さんの一文を読んだ。
大変説得力のある、ほぼ100パーセント間違いないと思われる内容だと思った。

私の塾生の1人に、合宿前にこれを読んできた者がおり、かなり興奮気味に、この「文芸春秋」の記事の内容を、彼の発表の場で語った。
津波の前に、地震ですでに、福島第一原発は破壊されていたとすると、津波対策に多大なお金をかけ、それをクリアすれば再稼働はOKだと思わされている日本人は、完全に騙されていることになるし、命の危険にさらされていることになる。

原自連がやらなければならない事は、山のようにある。しかも、これは時間との勝負でもある。

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福一を見てー湯川れい子

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44号に続き、福島第一原発を視察した湯川れい子さんからも感想が届きましたのでお送りいたします。

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「福一を見せて頂いて」
湯川 れい子

今回、下村満子さんの「生き方塾」で、このような貴重な経験をさせて頂いたことに、まず何よりも感謝します。

今更言っても、何の役にも立ちませんが、私は戦争を経験した世代です。昭和29年、1954年の高校生の時から、独立プロの新人女優として、評論家の岩崎 昶さんや映画監督の今井正さんといった人たちと、反戦運動をしてきた関係で、日本で最初に原子力平和利用という名目で、最初の原発がアメリカから運び込まれて来た時。ウラン、核燃料の使用と、それによって簡単に日本でも原子爆弾が製造可能になることに、強い危機感を感じていました。

でも、具体的に私が原発反対の意思表示や、活動を行えるようになったのは、ずっと後の90年代に入って、自分の子供の喘息を機に、環境運動を積極的に始めてからです。

それで90年代には水の浄化などの環境運動をしているということで、環境庁(当時)の中央環境審議会に在籍。そして1996年頃から、ウランの再生、使用済み核燃料の廃棄の問題などが検討されるようになった通産省主体の審議会に呼ばれて、「核の平和利用」の部会に席を置くようになりました。

審議会の構成メンバーの中には、当時、日本動燃、日立、三菱、東大や京大の原子力研究の先生たちが席を占めていて、フリーの立場はもちろんのこと、私のように、基本的に原発に不安を抱えている市民の姿などはまったく無く、すぐに市井の物理学者として意見を表明しておられた原子力資料情報室の高木仁三郎先生にお願いして、審議会のオブザーバーとして、私と一緒に審議会にご出席頂く方を回して頂いたり、原子力、特に原子力発電について勉強するようになったのです。

そんな中で、1999年の東海村でのJCO臨界事故が起きたときに、審議会に在籍していました。日本学術会議から「4本のプレートが入り込んでいる日本列島には、使用済み核燃料を捨てる場所も方法もない」と言う回答が寄せられているにもかかわらず、閣議決定事項として、どんどん原発が増え続け、もんじゅが稼働を目指し、本来危険そのものを回避できにくい状況の中で、原子力安全委員会が設置されていくなどという事を、目の前で見てきました。

そのような経験の上での福島原発事故でしたから、まず最もやり切れなかったのは、今も帰宅困難な広大な荒地に設置された除染土壌の中間保存地の現状でした。これだけの貴重な大地、国土を、一体、誰が、どう贖ってくれるのだという怒りです。

これは、フィリピンで戦死した長兄を、ルソン島の山の中の村まで遺骨を探しに行った時、「こんな山あいの小さな村を、死守せよ!と命じた者は誰だったのか?

名もないような連隊長に、そんな無責任で無惨な命令を下した者は誰だったのか」という、煮え繰り返るような怒りと悲しみと、まったく同じような感情だったのです。何回か中間貯蔵施設の土嚢置き場を見て、涙が滲みました。ここに、二度と戻ることが出来なくなった住民の方達の思いには、どれほどのものがあることでしょう。

この荒れ果てた福島の大地と、避難の途中で亡くなった多くのお年寄りたちの命。そして、東電は廃炉を30年から40年と言っていますが、事故を起こした原発、チェルノブイリは、30年経って100年持つというドームで石棺を覆いましたし、スリーマイル原発は、40年経った今も1トンのデブリも取り出せずに冷却を続けており、福島原発も100年経っても廃炉は不可能と言われています。東電には既に22兆円税金が投入されており、日経のシンクタンクの試算では70兆円以上かかるとされています。それに対して、一体、誰が、現在、どう責任を負っているのか?責任を取る人の姿も、取れる人間の姿も、未だ私たちの目には見えません。まさにこれは、第二次世界大戦の時の日本と同じなのです。

2019年8月26日。東京電力ホールディングスは、柏崎刈羽原発の「廃炉について初めて言及した」とNHKのニュースは伝えました。が、よく聞いてみれば、「これから6号機、7号機が稼働をした上で、5年経った段階で、段階的に1号機から5号機の廃炉のプロセスを考えて行く」という表明に過ぎませんでした。

つまり、「廃炉にするまで自分たちが生き残っていくためには、もう一度原発を稼働させなければならない」という表明な訳です。
現在稼働しているのは、川内原発含め9機あります。避難計画がちゃんと出来ていないのはその全てであり、柏崎刈羽原発で万が一事故が起きた場合に、住民がすみやかに避難できる経路もありません。道路も決して納得できるもので無いことは、住民の方の口からも聞いています。

今回福島を見せて頂いて、最もはっきりと明瞭に解ったことは、この小さな日本のどこかで、もう一度、想定外であれ何であれ、原発事故が起きてしまったら、日本人は逃げて行くところも、住むところも、作物を作るとところも無くなる、ということでした。

現在、若狭湾には、普賢、もんじゅの他に、敦賀原発2機(1機廃炉決定)、美浜原発3機(2機廃炉決定)、大飯原発4機(2機廃炉決定)、高浜原発4機と13機ありますが、既に関西電力などは、再稼働しなければ廃炉費用を稼げないと、どんどん再稼働を進めています。

日本国民のひとりひとりが、よほど覚悟を決めてものを言っていかない限り、福島の悲劇は、またいつあなたの足元で起きるか解らないのです。

福島を知ってしまった以上、今すぐに全ての原発を止める、廃炉にしていくという以外に、私たち大人が次世代の子供達に果たせる責任は無いのではないでしょうか?

とても綺麗に片付いて来た福一の構内で、今も人間が入れずに、クレーン車やロボットだけが動いているという静かな風景を目の当たりにしながら、一日も早い発電と送電のシステムと組織の切り離し。たとえ小さくても、安全なエネルギーの地産地消へ、責任ある国としての取り組みを果たしていくべきです。

未だにぐずぐずと動けずにいる与党、野党、総ての政治家たちの責任ある行動に対して、国民がもっと怒りを持って声を上げていく必要性を、改めて強く感じた見学会となりました。

すでに私の発言の場は、特にここ最近では随分と限られてしまっていますけれども、これからも命ある限り、あらゆる機会を使って、世の中に発信して行こうと決意しています。

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福島第一原発と中間貯蔵施設の現状

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福島第一原発と中間貯蔵施設の現状視察
吉原 毅

下村満子先生が、東日本大震災と原発事故を踏まえて、日本再生を担う有為な若者を育てるために、2011年4月に立ち上げた「生き方塾」では、毎年、多数の塾生を集めて合宿研修を行っています。

今年は、廃炉作業のために苦闘を続けている福島第1原発と、福島県の膨大な除染廃棄物を集積する中間貯蔵施設を視察訪問するために私も仲間に入れていただき金曜日と土曜の二泊、ジェイ・ビレッジに合宿して参りました。原自連からは、パスポート社長の濱田社長(「生き方塾」副塾頭)、湯川れい子先生、佐藤弥右衛門さんも参加されました。

土曜日は、まず中間貯蔵施設を訪問。中間貯蔵工事情報センターは、JESCOが運営説明を行っており、画像や展示制作物を用いて、詳しく説明して下さいました。
福島第1原発を囲む大熊町と、双葉町、楢葉町にわたり、広さが東京ドームの340倍の16平方キロメートル。ここに、除染した放射能汚染土壌や1キログラム当たり10万ベクレルを超える放射性セシウム濃度の焼却灰などを30年間貯蔵します。

現地に行ってみると、膨大な土地にフレコンパックから出された土壌を埋め、ロードローラなどで固めていく作業が行われておりました。ホコリがあがらないように水をかけながらの作業と言う説明がありましたが、現場を見ると土ほこりが舞う中で作業が続けられており、マスクをして作業している方々の健康障害が気になります。また土壌を処理する下には30年はもつという五重のシートが敷かれており、雨水などが放射性物質を環境に出ることが無いようモニタリングしているとのことでしたが、果たして大丈夫なのかという懸念は消せません。

もっとも大きな疑問は、これらの膨大な土壌を、30年後になって、再度掘り出し運搬して県外の最終処分場に持ち出す、という説明は、とても信じられないことであり、住民を納得させるためのフィクションとしか思えなかったことです。

もう一つは、パンフレットや展示にこっそりと記載されていることですが、1キログラムあたり8千ベクレル以下の汚染土壌は、再生資材として利用すると、さも当たり前のように書いていることです。8千ベクレルという十分に汚染された放射性物質が、再生資材として「全国の公園や住宅の地面の下に使われる」ことを環境庁が、特別措置法を制定して、実行しようとしているのです。全国に放射性物質をばらまく環境庁とは何だ?誠に恐ろしいことです。

その後、福島第一原発に向かい、厳重な手続きを経て、バスで構内を視察しました。緊張の中を、崩壊して補修された各原発、エイブル社の開発した画期的なロボットによる解体作業中の排気塔、膨大なタンクなどをバスから見て回りました。その後、廃炉センターで説明を受けましたが、贅沢な施設で、映像を駆使した設備など、反省という言葉の裏に違和感を覚えました。

今回の視察には、元東京電力の副社長石崎芳行氏の尽力があるのですが、石崎氏をはじめ、中間貯蔵センターの方々、廃炉センターの方々は、皆さん親切で人柄も良い方々ばかりですが、そのお話の中に東電寄りの意図的な情報操作的な内容が隠されており、一種のマインドコントロールを目的とした、プロパガンダ施設であると思います。

これに小学生や、中学生、高校生、大学生、一般人などを誘致し、反省の姿勢を見せながら、心を許させ、「2度とこうした事故は起こさないから原発を稼働させてほしい」ということを納得させてしまおうということが、これらの施設の本質です。

本当に卑怯な、嫌なやり方です。現場は頑張っている、現場はいい人だ、こういうところで、つい人間は妥協して信じてしまうもの。こうしたテクニックを上層部やマーケティング担当、外部の電通などの専門家が画策して、上層部の意図を通そうとしているのです。

小泉先生が、昭和16年夏の敗戦で語っているように、上層部が無責任に無謀な誤った方針、決断を出すと、現場がいくら崇高であり、自己を犠牲にして神風特別攻撃をかけても戦局は打開できず、夥しい犠牲者がでるのです。これと同じであり私は許せません。そうしたことを夜の講義でお話し、若い塾生の方々にお伝えしました。

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短編映画『東電刑事裁判 動かぬ証拠と原発事故』をお知らせします

福島原発刑事訴訟支援団と河合弘之監督映画「日本と原発」のKプロジェクトが、短編映画『東電刑事裁判 動かぬ証拠と原発事故』を制作、公開しました。
ぜひ、みなさんに見ていただきたい、26分間です!!!
各地での上映会などで、多くの方にお伝えください。

 

<判決が9月19日に出ます>
福島第一原発事故の刑事裁判の判決が9月19日に下されます。

被告人である東電元経営幹部3名が事故の原因である巨大津波を予見し、津波対策工事を計画していながら、
経営悪化を恐れて対策自体を握りつぶした大罪を司法は、いかに判断するのか、世界からも注目されています。

闇に葬られかけた津波対策計画の動かぬ証拠の数々を解析し、いかなる経緯で対策が握りつぶされたのかを描きました。

ぜひ、みなさんに見ていただきたい、26分間です!!!
各地での上映会など、多くの方に伝えてください。

自然に優しい自然エネルギーを応援します

自然に優しい自然エネルギーを応援します

                              原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟

自然エネルギーは、太陽光や風力、水力などの自然の恵みを生かし、自然環境を大切にするうえでとても大切なものです。私たちは、人類や他の生物が、この地球上で持続可能な命の営みをつづけるために、「自然環境を破壊し、危険でコストの高い原発」は直ちにゼロにして、自然エネルギーを拡大発展させねばならないと考えています。

その意味で、私達は現在、一部の地域で行われている「森を伐採し山を削り、自然環境を破壊する、大規模資本による収益目的の自然エネルギー開発」には反対します。

自然エネルギーとは、地域の自然環境と調和し、地元の人々の幸せな未来につながるような、持続的なものでなければなりません。そして、それは充分に可能だと考えています。

その一つが、田畑の上に設置するソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)です。これは、田畑の3~4メートル上に細長い太陽光パネルを取り付け、3分の1の光で発電をして、3分の2の光で農産物を育てる仕組みです。緑の田畑と細長い太陽光パネルがマッチした新しい農村風景をつくります。我が国の農地は460万ヘクタールで、その1割が耕作放棄地であると言われていますが、そこでソーラーシェアリングを行っただけで現在ある原発50基分の電力ができます。そして荒れた耕作放棄地も、緑あふれる美しい田畑として復活します。

地方の農家の方々の収入が10倍になり、後継者が都会から帰ってきて、地方の伝統や特色を生かした発展につながる、まさに「地方再生」の切り札です。

その他にも、小水力発電や、ヨーロッパで主流になっている洋上風力、地熱、バイオマス、そして潮力、海水温度差など、実は日本は世界有数の豊かな自然エネルギーに恵まれた「資源大国」なのです。

地域の方々が主体となって運営し、自然環境と調和した地域の幸せにつながる自然エネルギーの利用を通じて、私達は自然環境の豊かな日本の未来を実現するために全力を尽くしてまいります。