ウィランド・ワーグナーさんとの意見交換会報告

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┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓     第87号 2022/11/29
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原自連では、毎月定例の幹事会を行っておりますが、講師をお招きして原発や自然エネルギーについての学習をすることがあります。
できるだけみなさまにも共有したいと考え、ホームページにアップしております。
10月は、飯田哲也さんに「自然エネルギーの現状:再生可能エネルギー100%は世界の科学者の主流」をレクチャーしていただきました。40分で世界全体や各国、地域で再生可能エネルギー100%が低コストで実現できる明るい未来に向かっている姿と、日本国内の自然エネルギーに立ち塞がる数々の規制と原発に固執する現状を明確に知ることができますので、是非ご覧ください。「講演:自然エネルギーの現状:再生可能エネルギー100%は世界の科学者の主流」

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11月は、ドイツシュピーゲル誌の元日本特派員のウィランド・ワーグナー氏が日本にいらしているとの情報を受け、幹事会にお招きして意見交換会を行いました。お話の内容をまとめたものを共有いたします。

<意見交換会>
ゲスト
ウィランド・ワーグナー氏 (Wieland Wagner)
ドイツ在住ジャーナリスト、シュピーゲル誌の日本特派員、中国特派員を、20年以上に渡り歴任

ドイツの事情
ウクライナ戦争は、経済戦争であり、産業基盤が崩れる危機を招くドイツはとても暗い雰囲気です。エネルギーの値段はとても上がって、昨年は毎月200ユーロだったのに、今年は倍以上支払っています。近くのパン屋さんが何軒も閉店し、ドイツトップのトイレットペーパーの会社も倒産しました。信号機連立(3党のテーマカラーが赤緑黄のため)は、ロシアのガスをあてにして再生可能エネルギーを促進していく予定でしたが、厳しい状況です。

ドイツは、物作りの国であり、GDPの18%を占めています。フランスは9%であり、アメリカは11%。物作りは多くの電力や熱を使用し、特に熱不足は大きな打撃となっています。その上、バイデン政権はインフレ抑制のために国内生産を優先し、水素社会を進めるために投資を集中させています。ドイツの基幹産業である自動車メーカーなどは、アメリカ国内に工場を移転する動きが加速されている。また水素社会への転換を促進するために欧州各国も投資を集めなければならなくなっているのです。

ドイツは今年末までに原発ゼロを決めていましたが、来年の4月半ばまで延長を決めました。ウクライナ情勢次第ということもあり、長期予想ができないので、更に延長される可能性はありますが、長い延長はできません。何故なら、かつてドイツには17機の原発があり、30%を賄っていましたが、福島の事故を受けて脱原発を決めて原発を減らし続け、今は3機になりました。動いている3機の原発の最後の安全審査は2009年に行われており、安全審査をする機関もなく、新たな燃料棒の手配もできないからです。原発会社も大手企業もコスト面からも延長には前向きでなく、既に会社の方針を脱原発に転換しているからです。

また、最終処分場については連邦議会の決定が必要ですが、候補地はまだ調査段階であり、まだまだ不確定です。更に旧東ドイツのバルト原発は30年前から解体作業が行われていますが、廃炉費用に1機10億ユーロ掛かると試算されており、脱原発は国民的DNAとなっています。更にこのエネルギー危機で自然エネルギーへの期待が高まったのも事実です。ドイツも官僚支配が強く様々な規制や手続きがあり、風力発電の認可は7年位掛かっていますが、それをスピードアップするよう指示が出ているので促進されるでしょう。

ドイツの電力構成は風力23.8%、太陽光12,2%、バイオマス7.3%、水力2.9%、再生可能エネルギーで46.2%に達しており、原発は5.8%。ウクライナ戦争による電力不安から自然エネルギーに転換する動きが加速しているのはプーチンのおかげです。

フランスの事情
フランスは大統領制であり、非常に強い権限が集まっています。ドイツの連邦制と異なり日本同様中央集権国家のため、何事もパリで決められているので日本同様強固な原子力ムラが存在します。今年は56機の原発のうち半分は地球温暖化のため、川が干からびて原発の冷却水を供給できないため停止しています。労働者のストライキもあり、技術者が集まらないこともあり、現在ドイツから電力供給を受けている状況があるのです。

しかしマクロンさんは、新規原発建設や、60年の運転延長を画策中です。ラ・アーグの再処理場には世界最大の中間所蔵施設もあり、強気です。ただ最終処分場が決まっていないのは他国と同じですが、ビュール近郊で調査などが行われていますが、そこは粘土岩で、フィンランドの花崗岩とは異なることが最近問題になっています。

フランスはトリチウムなどを含む処理水を2020年に2週間半にわたって福島で保管されているのとほぼ同量を太平洋に放出しました。テレビでも報道されたようですが、その際フランスで議論が起こっていないことも問題だと思います。運転中の排水も川に放出しており、下流の住民はその水で生活しているので、民間団体は調査しています。

フランスの電力構成は、水力13%、風力7.9%、太陽光2.5%、バイオマス1.9%と再エネ合計で25.3%しかなく、原子力は67.1%(2020年)フランスはイギリスなどで原発を建設していますが、膨大な建設費が掛かっており、投資を集めたいので、EUタクソノミーに原発を加えようとしたと思われますが、私は原発をグリーンエネルギーだとは思っていません。

EU全体でも2030年までに再エネ40%を目標にしていますので、原発回帰になるとは考えていません。EUが一致団結しなければ、アメリカに対抗できないので、とても重要な問題です。(文責 木村結)

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“届かない電報”が予見したもの
―加藤寛先生の原発反対の源流

小宮 武夫

昔、「渚にて」と云う洋画があった。核戦争で地球が滅びる話だが、戦争や破壊の場面は一切なく、放射能が徐々に地球を覆って静かに死を迎える人々の日常を“死者の目”で描いている。印象に残っているのは原子力潜水艦が海底で生き残り、乗組員が死の街サンフランシスコから発せられる正体不明の電波に望みをかけ上陸し、死を賭して発信元をつきとめる場面だ。しかし、そこは風がキイを動かしている無人の通信室だった。死に瀕してでも未知の人と出会うあこがれ、人間の持つ愛の本質が核によって見事に砕かれてしまう。“届かない電報”の悲劇がそこに見てとれる。

三十年前、私は邦銀の駐在先メキシコで大地震に遭遇した。唯一の通信手段だったテレックスが建物崩壊で途絶し、東京では私の死亡説も検討されていたようだ。

勤務が終わった数年後、大学の恩師加藤寛先生を訪ねたところ「あの時すぐ君に電報を打ったけれど返事がなかった。届いたのだろうか?」と、とても心配されておられたのだ。そのお気持ちに触れて私は絶句したままだった。それからは心の中に今も先生の“届かない電報”が漂っている。

その後、日本でも大震災が起こり、原発事故を招いた。そして日本経済も低迷し核を持つ普通の三等国へと転落途上である。加藤先生があえて“届かない電報”を打ち、原発を廃止するよう遺言されたのは単に核が危険だからと云う理由ではない。彼が信奉するイギリスの経済学者ピグーの政策理念“ウォームハートとクールヘッド”が核や原発でことごとく破壊されるからだ。人に対する温かい思いやりと冷静な頭脳こそ政策を実施する者に求められる。しかし核や原子力は地球の大気圏に持ち込めない異世界の制御不能な本性を持っている。その戦慄すべき暴力を文明の利器と偽って物の本質を考えずに、イマ、ココの快楽に関心を向けさせる権力者達。ひとたび核という欺瞞の虚構を組み立てれば欺瞞が欺瞞を呼び、財政も金融も権力者の利益のための方便となり、フェイクニュースとして大量に拡散される。元凶は原発と核だ。SNSにしても本当に相手の心にメッセージは届いているのだろうか。“届かない電報”は今やインターネットの隠された墓場で何百億の怒りに膨張し唸りをあげながら吐口を探しているのではないか。新しいファシズムの温床はそこにあるのかも知れない。

私達が原発に反対するのはそうした嘘に対抗し、まず思いやり(ウォームハート)を持った人間として自立するためだ。自然エネルギー(太陽光)を使って家族や地域で思いやりの世界をつくっていく。すると“届かなかった電報”も少しずつ届くようになる。“新しいファシズム”に対抗する新しい民主主義はこうして脱原発の運動から始まるのだ。

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