歴史の起点として福島を捉え直す

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「歴史の起点として福島を捉え直す」(飯田哲也)
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「歴史の起点として福島を捉え直す」
3.11東日本大震災・福島第一原発事故から9周年、そして10年目にあたって
isep所長 飯田哲也

「3.11」から丸9年、そして10年目に突入する本日、東日本大震災および福島第一原発事故の犠牲になり失われた人々とその遺族の方々に対して、あらためて深く哀悼の意を表します。

今、日本を含む世界の多くの国々は、新型コロナウィルスの急速な感染拡大、いわゆる「パンデミック」で大変な事態となっています。この事態を巡って日本で起きているさまざまな出来事は、まったく異なる事象でありながら、国による国家的な危機管理という意味で、福島第1原発事故後のさまざまな出来事を思い出さずにはおられず、重なり合う要素も少なくありません。

表面的に見ても、マスクと防護服姿という相似性はさておき、トイレットペーパーやマスクの不足は3.11後に水やガソリンが店頭から消えたことを想起させ、社会全体の自粛・緊縮モードで街中がひっそりと感じられるのも3.11後の節電と輪番停電で暗くなった街を思い出させます。組織的にも個人的にも講演会や集会がことごとく中止・延期となり予定がまったく変わってしまい、「社会的な非常時」を痛感することも同じです。

より重要なことは、この国の根底にあるものの共通性です。その第1はこうした危機に際して国(政府や官僚組織)が機能不全を起こしてしまうこと、第2は国民の生命・安全・健康がけっして最優先に置かれないこと、第3は「専門家」が必ずしも信頼できないことです。たとえば今回も、医療の基本である早期発見・早期対応のために不可欠なPCR検査が中国、韓国や台湾などに比べて桁違いに少ないという事態が放置され、それが逆に国が警戒しているはずの感染拡大や医療崩壊のリスクを増しています。福島第1原発事故が日本だけであったのに対し、今回は中国、韓国や台湾など近隣諸国を含む世界で同時に起きているがゆえに、日本の突出した対応のマズさが可視化されます。それでもなお3.11当時は、当時の菅直人首相率いる官邸は、機能不全の官僚や東電、「専門家」に囲まれながら一所懸命に対応したが、今回は官邸主導による後手後手かつ「やってる感」だけを前面に出した対応が事態をいっそう悪化させているように思われます。

福島第1原発事故後にせっかく画期的な「原発事故子ども・被災者支援法」が成立したにも関わらず、現政権が成立して以後、誠実な施行がされないままに放置され、非常時並みに放射線レベルの高い地域への帰還が強制される一方、避難者の住宅等の支援は次々に打ち切られている。そうした現実と、唐突で効果の疑わしい全国一斉休校やイベント等の自粛に対する支援策が乏しい今回の対応や感染の不安を抱えたまま「検査難民」が生じていることは、「国民の生命・安全・健康がけっして最優先に置かれないこと」で通底しています。「ニコニコ笑っていれば100mSvでも大丈夫」と「ミニ武漢」となったクルーズ船への対応を見ても、日本の「専門家」の危うさが共通しています。

エネルギーに話を戻すと、福島第1原発事故は世界史に残る大事故であることは疑う余地もありません。その事故に学んだのは、当事国の日本ではなくドイツを筆頭とする海外の国々で、しかもおりから加速した太陽光発電と風力発電の加速度的な拡大によって、わずかこの10年ほどで今や自然エネルギー100%の未来さえリアルに予見できるようになりました。ところが原発事故の当事国である日本では、今の政権は自然エネルギーの拡大には消極的で、原発と石炭火力を軸とする「旧いエネルギーコンセプト」に執着したまま、世界に背を向けています。

福島第1原発事故は、歴史的な偶然もあって、世界史的なエネルギー転換という「歴史の起点」に位置づけられました。同時に、機能不全を起こしている日本の統治機構や民主主義のあり方を再構築すべき、日本史的な「歴史の起点」にも位置づける必要があると考えます。

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「東海第二原発再稼働を問う『県民投票』実現に向けて

原自連のメルマガをご覧の全国の皆さま、茨城県より情報発信いたします。

茨城県では現在、東海第二原発再稼働の是非を問う「県民投票」実現のための署名活動を行なっています。昨年3月に市民有志が立ち上げた「いばらき原発県民投票の会」が主体となり、多くの市民団体、個人が各地で街頭署名を行うなど日々奮闘しています。

大井川茨城県知事は「再稼働については県民の声を聞いて判断する」としていますし、選挙の際に多くの候補者は再稼働に対する賛否を明らかにしておらず、有権者がこの問題に関して判断を委ねたとは言えないことも県民投票実施をめざす大きな理由です。
詳しくは「いばらき原発県民投票の会」HPをご覧ください。http://ibarakitohyo.net/

さてそこで、茨城県民の方にはまずご署名を、そして県外の方には以下の2つのことをお願いしたいと思います。

1)茨城にご家族、ご親戚、お知り合いなどいらっしゃいましたら、ぜひこの運動のことをお知らせください。そしてご署名をお願いしてください。
1月6日から始まった署名活動ですが、市町村により多少のずれはありますが(選挙がある場合に異なる)3月6日までの2ヶ月間で有権者の2%、茨城の場合約5万筆の署名を集めなければなりません。まもなく一次集約ですが思ったように数字が伸びていないのが現状です。
2)資金面でぜひサポートしてください。寄付やクラウドファンディングにご協力ください。この活動はすべて寄付でまかなっています。準備ですでに150万を費やし、現在はそれぞれが立て替えをしながらなんとか活動を続けているような状況です。今後350万ほど必要になるとのこと、多くの方にサポートをしていただけたら本当に大変助かります。
ご寄付はHPからできます。笠間焼や木工作品などのリターンもあるクラウドファンディングもHPからどうぞ。

原発問題は立地地域だけにとどまらず日本全体、いえ世界規模の重い課題です。
どうかこの2ヶ月間、茨城に関心を持って注目・話題にしていただければ幸いです。規定の数を大きく上回る署名が集まれば、国や県、東海村、原電にも圧力をかけることができます。ぜひ皆様のお力添えをどうかお願いいたします。(茨城県石岡市 増山みゆき)

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☆小泉純一郎  講演会 2020年3月15日(日)新潟県柏崎市

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「原発事故に関する独立調査委員会の設置」要請!

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「原発事故に関する独立調査委員会の設置」実現に向けて
木村 結

放射線量のレベルが下がったとして、原子力規制委員会が、福島原発の調査を再開すると発表したという報道があったため、国会事故調のような独立性の高い事故調査を行うべきと考え、幹事会に提案しました。

世界中を震撼させる過酷事故を起こした日本には、正式な第三者委員会で原発事故調査をし、世界に向けて公表する義務があると考えたからです。

近江屋信広さんと中川秀直さんを中心に文章は練られ、
11月29日には、規制委員会の更田委員長に宛てた要請書を近江屋さんと木村で届けました。

そして、12月20日には元国会事故調査委員会委員長の黒川清さんをオブザーバーに迎えて記者会見を行い、24日には、衆議院に設けられた「原子力特別委員会」の委員を中心に議員会館や党本部を訪問し、独立性の高い事故調査委員会の設置を要請しました。来年も「原発ゼロ法案」成立に向けた闘いと共に設置に向けた要請を続けて参ります。各地で行われている「原発再稼働反対」運動への応援なども行なっていきます。引き続きのご支援をお願い致します。

以下に、国会議員に宛てた要請書の全文を掲載致します。

2019年12月20日
国会議員各位
原発ゼロ・自然エネルギー推進会議
会 長 吉原   毅
顧 問 小泉 純一郎
顧 問 細川  護熙
副会長 中川 秀直
幹事長 河合 弘之

原発事故に関する独立調査委員会の設置などを求める要請
【事故原因調査について】

原子力規制委員会は、東電福島原発事故から8年半経過し現場の放射線量が低下したとして事故原因の再調査に着手しました。

調査の主なテーマとされている、(1)放射性物質が漏れたルート、(2)格納容器の圧力の下げ方、(3)原子炉を冷やす機器の動かし方、についての分析は、東電が事故対策に真剣に向き合っていたのか、検証する点で意義があります。

しかしながら事故の直接的原因の調査としては、津波の前の地震被害により冷却機能を喪失したのではないか、地震に対する安全対策は十分だったのか、解明することが、きわめて重要です。

その点、国会事故調による調査のなかで、2012年2月、委員の提案で「建屋に入って地震被害を調査したい」と申し入れたところ、東電側の虚偽説明により建屋入りが実行できなかったことが明らかになっています。

そのような経緯も踏まえ、国会事故調は、「安全上重要な機器の地震による損傷はないとは確定的に言えない」と報告書に記述しています。

私たちは11月29日、原子力規制委員会に対し、今回の再調査のテーマに「地震被害の状況」を加えるとともに、同委員会の「事故分析検討会」に国会事故調の元委員など第三者の科学者・研究者にも参画していただき、公開による調査を実施するよう強く要請しました。

真実の事故原因をはじめ、より幅広い課題について調査・検討を行うために、また、福島原発事故を決して「風化」させないためにも、新たな独立調査委員会の設置が、今どうしても必要です。

【国会事故調提言の実施について】
国会事故調(時限立法に基づき1年で終了)は、福島原発事故に関し規制当局が事業者の虜(とりこ)になり、規制が骨抜きにされていたことが根源的な事故原因だ、この事故は人災だ、と結論づけ、7つの提言を行いました。

提言(1)の「規制当局に対する国会の監視」については、衆・参両院に会期毎に「原子力問題調査特別委員会」を設置(参院は現在、東日本大震災復興に包摂)してきましたが、審議は不活発で形式的、と言われています。

提言の(2)政府の危機管理体制の見直し、(3)被災住民に対する政府の対応、(4)電気事業者の監視、(5)新しい規制組織の要件、(6)原子力法規制の見直し、については、国会法に基づき内閣府は「国会事故調の提言を受けて講じた措置」を毎年国会に報告書を提出していますが、規制基準や避難計画などについて実効性への疑問点が多々あり、全体を厳しく検証することが必要です。

提言(7)の「独立調査委員会の活用」は国会において具体化の検討がなされていないことは遺憾です。

以上のような現状を踏まえ、7つの提言について国会の責任において実施期限を付した全体の実施計画を策定し、着実に実現していただきたい。
特に国会固有の取り組みとして、以下の3点の実施を早急に行うよう強く求めます。

1.原発事故に関する独立調査委員会の設置を
憲政史上初めての国会事故調は、行政府から独立し民間の科学者・研究者を中心に国政調査権を背景に調査・報告を行い、大きな成果を挙げました。

この国会事故調を引き継ぐ、原発事故に関する新たな独立調査委員会を速やかに設置し、提言(2)~(6)の課題に加え、未解明の事故原因の究明、廃炉の道筋、使用済み核燃料問題、原発問題を含めた今後のエネルギー政策などについて、継続して調査・検討を行うこととしていただきたい。

そうした独立調査委員会の設置がベストであるが、根拠法の定立など時間がかかることを考えれば、次善の方策として、現行の「衆議院原子力問題調査特別委員会」のもとの「アドバイザリー・ボード」(有識者7名の助言機関・黒川清会長)を拡充し、その機関が国政調査権を活用しながら独自に調査・検討を行うという、実質上の「国会事故調再開」もあり得ます。

2.独立調査委員会をすぐに起動できる制度を
わが国の政策形成において、行政主導の「結論ありき」の審議会方式から脱却し、三権分立と民主主義を機能させることを基本に、国権の最高機関たる国会にふさわしい政策決定システムを築くことが肝要です。

そのため国会事故調の貴重な経験を活かし、国会が臨機応変にテーマ別の独立調査委員会を立ち上げられる経常的な仕組みをつくっていただきたい。

3.国会事故調の調査資料の保存・公開ルールづくりを
国会事故調が収集・整理した調査資料の保存・公開については国会事故調法に定めがなく、現在、膨大な資料が国会図書館に保管されています。これらの資料は国民にとって有用であり、また、今後の国会における立法活動や行政監視に役立てるべく、国会において保存・公開のルールを早急につくっていただきたい。
(以上)
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☆小泉純一郎 講演会 2020年1月25日(土)群馬県沼田市
☆小泉純一郎  講演会 2020年3月15日(日)新潟県柏崎市

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自然エネルギー100%のドイツ・ユンデ村で民主主義を考えた

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2019/11/19

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☆目次☆
自然エネルギー100%のドイツ・ユンデ村で民主主義を考えた (木村 結)

アニメ『天気の子』から解る原発のこと
―どうして私たちは立ち上がるのかー      (小宮 武夫)

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自然エネルギー100%のドイツ・ユンデ村で民主主義を考えた
木村 結

2011年、福島の原発事故を観て脱原発の方針を加速させたドイツ。そのドイツにあって「ユンデ村に続け」と言われた、ドイツのほぼ中央に位置するユンデ村を9月30日に訪問しました。

ユンデ村の名を有名にしたのは、ゲッティンゲン大学の自然エネルギーの地産地消実験に応募したことがきっかけです。

2000年の募集から、村民は何度も何度も話し合いを重ねていきました。自然エネルギーについて、バイオマスについて理解するところから始まったのです。ゲッティンゲン大学とのプロジェクトに参加し、メンバーとなる世帯の名前が重ねられていきました。そして50%としていた目標を大きく超える70%の世帯の賛同で2005年にプロジェクトはスタートしたのです。

村民750人、7軒の農家、牛450頭、豚200頭、森林800ヘクタール、農地1500ヘクタール、年間降水量800ミリメートル、平均気温10.5℃。村民資金は50万ユーロ(1ユーロは約120円)、国からの補助金150万ユーロ、銀行からの借入れは330万ユーロのスタートでした。評議員や技術者、環境専門家、代表者などチームの構成やスタッフ全てが平場で話し合われて決められました。メンバー全員が同額1500ユーロを出資し、ひとり1票を行使できるという公正なルールも決めました。

ユンデ村ではバイオガスが中心で、酪農で出た糞尿に農地で不要になったトウモロコシの茎、雑草を細かくカットしたものなど混ぜて発酵させます。そこから出たガスで発電し地元の電力会社に販売。また余剰熱源でお湯を沸かし全家庭に廻らせたパイプで循環させ寒いドイツの家庭を温めます。

森林は、二酸化炭素を吸収してくれる他、間伐材は木材チップとして、乾燥させてから燃焼プラントで利用されます。ここで出た廃棄物は植物の肥料として使われ、ユンデ村の中での見事な循環ができています。

家畜の糞尿や食品廃棄物、木材廃材などを直接燃焼して蒸気でタービンを回す日本で主流のバイオマス発電と異なり、バイオガス発電は、ユンデ村で行われているように、有機ゴミを発酵させて可燃性のバイオガスを発生させてガスエンジン発電機を回す仕組みのため殆どCO2が発生しません。

また、プラント設備がシンプルなため導入コストも少なく、メンテナンスもしやすく、維持管理も楽なのです。
さらに、太陽光や風力発電と異なり、天候に左右されず、24時間有効利用できることも大きなメリットです。有機ゴミの有効利用になり、ゴミの量が減り、燃焼費用を削減することもできるのです。

ユンデ村は、単独でエネルギーの100%循環ができる点で、実験農場としてピッタリだった訳です。

実は、私たちは、ユンデ村の最後の訪問者だと聞かされます。地元紙の記者の取材を受け、案内のブリンクマンさんと一緒に写真も撮られました。

ユンデ村がスタートしたのは2005年10月。2025年まで20年の計画でしたが、機材などに投資しなければならない事態になり、あと5年のために再び借金をして続けるか、それとも買いたいと名乗りを挙げている企業に売却するか、話し合いを重ねきたとのこと。そして訪問する3日前に、疲れたからリタイアしたいという人々の声を尊重して売却することに決定したというのです。ユンデ村を推薦してくださった方から訪問希望のメールを出していただいてもお返事が来ず、諦めようかと思った時にようやく連絡が来たのですが、まさか最後の訪問者になるとは。大学の研究職をリタイアしてから案内係として事務所を管理していたブリンクマンさんは、この話になると感極まったご様子でした。

今回の旅のテーマは「ドイツと日本の違いはどうして生まれたのか?」
それは、戦争の責任の取り方と、男女格差、それが原発事故を起こしても原発をやめられない日本と、対岸の火事と思わず、原発からの撤退を早め、着実に自然エネルギー導入を進めているドイツの違いとなって現れているのですが、民主主義が国民のものになっているか否かも大きな要因であったことを知ることとなりました。「ドイツではどんなことでも簡単には決めないの」。路上喫煙の煙に辟易して、今回の旅に多くのアドバイスをくださったヘロルド比呂子さんが言った言葉です。吸う人の主張も含め、双方の意見を出し合い立場を尊重して、合議するまで議論を尽くすことを優先するため、法律で簡単に決めることはしないとのこと。

「民主主義は、少数意見の尊重があってはじめて生かされる」と考え、日本での少数意見の尊重が形だけのものになってしまっていることを民主主義の危機だと発言してきましたが、民主主義とは、私が想像していた以上に時間が掛かることであり、少数意見の人をリスペクトできるかどうかを試される制度でもあり、人そのものを鍛えてくれる制度なのだと感じました。

以前から子どもたちにホームルームの時間内で結論を出させる日本の学校教育が様々な問題の根源だと思っていましたが、既に社会全体が、少数意見は言わせるだけ、最後は多数決で決めることを当然だと思ってしまっている、多数で有無を言わせない、効率性を優先する病に、私も蝕まれているのだと思い知ることになりました。

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アニメ『天気の子』から解る原発のこと
―どうして私たちは立ち上がるのかー
小宮 武夫

核時代の戦争に勝者はいない。起こったら人類の絶滅は確実だから。核で敵を威圧する核戦略も下等な茶番劇であることを権力者は重々承知している。今や威嚇の対象は支配下の人民。平和利用というお題目でもっともらしく作られた原発も元を正せば容易に転用可能な核兵器であることはもはや常識である。

その本性が、暴露されたのが日本の第二の敗戦と云われる福島の原発事故。広島以来再び武器として牙を剥き、人々は無抵抗に破れた。

新海監督の新作アニメ『天気の子』は福島以降の私たちの敗戦を考えさせる傑作だ。舞台の東京は、憂鬱な雨が止まず、祈りで晴れ間を呼ぶ異能の少女の物語だ。

この降雨の有様は尋常ではない。おそらく、新海はいまも降りつづける目に見えぬ放射能をこのアニメで止まらない長雨に表現したのではないだろうか。もはや人々の生活に当たり前のように日常化している核の危機。そんな危機感を雨や洪水で映像化したのだ。主人公が天気を祈ることは原発ゼロを祈願することに通じ、やがて主人公たちが事件に巻きこまれ追いつめられていくプロセスは私たちも身につまされる。テロリストでもない普通の若者が排除されていく恐ろしさをアニメは訴える。

しかし、原発とは元々核と同じく人々を拒絶し、内部の人間さえ疑い、ダーティな人殺しの闇を、地球破滅という悪を、秘密と威圧で抱えこんでいる伏魔殿
なのだ。これに立ち向かおうとする者は鼠一匹でも排除されるのだ

前作『君の名は。』で新海は福島の事故を小惑星の衝突に表現をかえる。主人公たちは村民に衝突の危機を訴えながら、時空を超えて求め合い愛を確認しようとする。それはちょうど、突撃に出発する特攻隊員がありったけの愛を恋しい人へ手紙に注いで、死に場所を定めたのと同じだ。
まるで愛する人に対する殉死とでも云える主人公たちの生き様。これ以上の反原発の抗議はあるだろうか。反戦の抗議はあるだろうか

福澤諭吉は150年以上も前に『学問のすすめ』(七編)でこう述べている。政府の暴力に人民はいかに抗するか。最良の策は「一寸の兵器を携えず、片手の力を用いず、唯正理を唱えて政府に迫ることなり」「世を患いて身を苦しめ、或は命を落とすものを西洋の語で『マルチルドム』と云う」。愛するもののため信念を持ち殉死をも辞さない抵抗を彼は唱えている。

まさに新海アニメの主人公の生き様は福沢が唱えた抵抗と共鳴するのだ。
西南の役で西郷が非難轟々と浴びせられた時、福沢ひとり西郷に同情し、また新政府に鞍替えし平然と敗者を捨てた勝や榎本を難じたのも、信念をもって抵抗に殉じる士魂こそ日本の独立に欠けていると、将来を案じたからだ。

敗者(敗戦)に百の魂あり。私たちは殉死覚悟で人を愛し家族を愛し地域を愛し、一身一国を独立させる第一歩、原発ゼロを闘おう。

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☆吉原毅 講演会   11月28日(木)滋賀大学

☆小泉純一郎  講演会 12月1日(日)薩摩川内市
☆小泉純一郎  講演会  2020年1月25日(土)群馬県沼田市
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ドイツの電力事情を理解するには ーEU内におけるドイツの電力事情―

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メルマガ第49号で加藤秀司さんへのインタビューを配信したところ、1967年からドイツ在住でベルリン自由大学にて教鞭を執るかたわら脱原発運動を続けていらっしゃる原自連読者福澤啓臣さんから原稿が送られてきましたので、ご紹介いたします。(木村が10月に渡独した際にお会いしています)

ドイツの電力事情を理解するには
ーEU内におけるドイツの電力事情―
福澤啓臣

<国ごとの大きな湖があり、たくさんの川が流れ込み、また流れ出ている>
EU内の電力事情を理解するには、それぞれの国ごとの電力網を大きな湖と想像してほしい。その湖には何百本もの川から水(電気)が流れ込んでいる。そして同じように消費者に向かって何百本もの川から水が流れ出ている。さらに国ごとの湖と湖の間を何本かの川がつないでいる。だから、例えば、ドイツの再エネ電力小売り会社がスェーデンやオーストリアから水力発電によるグリーンな(自然エネルギー)電気を購入し、販売することもできる。ただし、川のキャパ(流量)は多くないので、外国との電力売買は量的に限られている。

<ドイツの電力事業の歴史>
第2次世界大戦後の事業形態としては発電から送電、さらに配電と小売まで一社で取り扱う独占的な8社体制が確立された。電力事業には、競争が成立しにくいので、このような独占体制が適切と見なされ、1998年の自由化まで続いた。

自由化のきっかけは、1996年に出されたEU(欧州連合)からのエネルギー市場自由化の指令であった。この背景にあったのは、80年代以来世界中に広がった自由化の波である。自由化により競争が生じると、コストパフォーマンスが良くなり、商品が安くなって、消費者が得をするという考えが世界的に広まった。

EU自由化指令が出た後、ドイツでは1998年以来エネルギー事業法の整備が順次行なわれた。まず発電と小売部門が自由化される。次に2011年に送電網が大企業の所有から切り離されて、中立化された上で連邦ネットワーク庁(経済省)の管理下に置かれた。反原発の運動は、すでに70年代から原発建設予定地などで始まっていたが、全国的に広がっていったのは、1986年のチェルノブイリ事故以降である。

ドイツでは1991年に再生可能エネルギーのフィット(固定価格買取制度)が世界に先駆けて導入された。再エネ電力が十分一人歩きできるようになったので、2014年から入札制度に切り替わった。

日本と違うのは、中立化された送電網( 4つの企業が全国の送電を管理している )と自治体の地域配電網である。地域配電網は自治体自ら管理している場合もあるし、企業に委託している場合もある。20年ごとに自治体が決める。90年代の自由化の風が吹いていた時に売りに出した地域配電網を買い戻す自治体が最近増えている。この頃日本で知られるようになったエネルギー都市公社にはピンからキリまであり、最大のミュンヘン・エネルギー公社などは年商数千億円もある。小規模のエネルギー都市公社には発電から 地域配電、さらに売電まで一貫して手がけているのもある。

<ドイツの電力売買>
ドイツの電力売買には、三つのカテゴリーがある。もっとも多いのは 相対取引(取引所を経由しないで、直接に取引する先物取引)で、全体の7割から8割を占めている。残りは二つの取引所を経由する売買である。将来の電力を取引する先物取引所(6年先まで)はライプチッヒにあり、ドイツ、フランス、オーストリアの電力を扱っている。48時間(二日間)分のスポット取引はパリの取引所で行われる。ここで扱われる電力は、グレー(灰色)電力とされ、再エネ発電によるグリーンな電力も原発による電力も区別しない。

ちなみに価格だが、相対取引によるベース電源が最も安く、スポット取引のピーク時が最も高い。

<パリのスポット(2日前から15分前まで扱う)電力取引所>(https://www.epexspot.com/de/
パリのスポット取引所ではドイツ、フランス、英国、オランダ、ベルギー、オーストリア、スイスの電力が取引されている。ちなみに2019年10月27日のピーク時価格(€/MWh)を紹介すると、上記の国順に、33.27、36.47、38.76、34.07、36.90、34.52、52.72となっている。ドイツがもっとも安く、スイスが最も高い。ちなみにドイツは電力輸出国である。
この7カ国を合わせた電力はEU内の電力の85%を占めている。

<消費者にとってドイツの電気はとても高い>
取引所におけるドイツの電力は安いのに、消費者価格はEU内でデンマークに次いで高い。2018年現在1kWhで 29.43セント(37.17円)である。内訳を見てみよう。まず発電コスト:19.3%、送配電託送料とメーターの料金:25.6%、配電委託料:5.7%、消費税:16%、フィット賦課金:23.6%、電気税:7.0%、その他:2.8%。このように実際のコストは50%弱で、賦課金や税金などが54.2%も占めている。

<再エネ電力小売り企業は太陽光や風力による再エネ電気を販売していない>
ドイツには再エネ電力小売り企業がたくさんある。彼らはグリーン電力を売り物にしているが、太陽光や風力による再エネ電力は販売していない。彼らが売っている電気は主に相対取引によって購入された水力発電によるグリーン電力である。それもオーストリアやノルエーやスェーデンなどの水力発電所が発電した輸入電気である。南ドイツの山岳地帯の水力発電からも購入している。

太陽光や風力による再エネ電力は天気次第なので先物取引には向かないし、スポット取引所での電力は発電源を区別しないグレー電力だから、グリーン電力として販売できない。バイオマス電力は先物取引もされている。

<ドイツの電力エネルギーミックス(2018年発電レベル)>
最も多いのが再エネ電力で40.2%、石炭と褐炭で38.2%、原子力13.3%、天然ガス7.4%である。再エネの内訳は風力が50.3%、太陽光21.2%、バイオマス20.7%、水力7.8%である。風力が半分を占めている。それとバイオマスが太陽光と拮抗しているのもドイツの特徴だ。

<7基の原子力発電所による電力は全体の11%>
2018年現在ドイツでは7基の原子力発電所が稼働中で、総発電量の13%を占めている。2022年に全ての原子力発電所のスイッチが切られる。ただ、最近稼働期間の延長を求める声が高まっている。ドイツの原発の運転期間は約30年なので、日本やフランスなどの40年、あるいは60年に比べて、まだ十分使えるし、安全だと主張している。

<太陽光および風力発電と蓄電池のセットでバーチャルな発電所>
再エネ電力会社は数年前から太陽光発電パネルに蓄電池を付けてセットとして販売している。スマート・メーターがさらに加わり、自家発電された電気をまず自ら消費し、さらに電気が余った場合には、販売する。さらに太陽光発電と蓄電池のセットを数千、数万と結んで、大きなバーチャル発電所として機能させている。Sonnen(太陽の複数形)という会社は現在までこれらのセットを13万軒繋いでビジネスにしている(Sonnencommunity)。太陽が輝き、風が強い日には、どんどん発電できるが、送電網が一杯になってしまうと、受け入れてもらえない。このような場合には、コミュニティーの蓄電池に貯めておける。そして需要がある時間帯に、高い価格で売電することができる。

ドイツ最大(顧客数60万軒)の再エネ電力小売り会社Lichtblick(雲間から差し込む一条の光)は同じように数万軒を結んでSchwarm(群)と名付けている。こちらはさらに一歩進めて、送電網が一杯になり電気を捨てなければならなくなった時に、その余剰電気を無料で蓄電している。送電会社にしてみれば、ドイツではカットした再エネ電気にも料金を支払わなければいけないので(その金額が昨年は400億円ほどになっている。最終的には賦課金に算入される)、御の字。受け入れ側にしてもタダで電気がもらえるので、こちらも御の字。これで両者がWin, Winになる。これまではこのような余剰電気は水力発電所に頼んで、つまりお金を払って、揚水発電をしてもらっていた。

<将来のカギを握るブロックチェイン技術>
「コミュニティー」や「群」のような分散型の電力ネットワークの発展に最近寄与しているのが、ブロックチェイン技術である。この技術は中心になる司令塔、つまりサーバーがなくても機能し、一軒ごとの発電、給電、受電状況が記録でき、明細決算に役立つ。つまり、再エネ発電とブロックチェイン技術が結びつくことによって民主的電力網が成り立つ。さらにこの数多くの蓄電池をブロックチェインで結んだコミュニティーが巨大になれば、ドイツの送電網が抱える大きな問題がある程度解決できるかもしれない。

現在風力発電は北ドイツ(全くの平地)に多く、電力の需要は南ドイツ(山が多い)に多い。この二つの地域を結びつけるには800 kmもの長距離高圧送電網が必要だ。数年前からその建設を進めているが、地域住民の反対などに遭って、相当部分が高圧送電線を地下に潜らせなければならなくなった。それはコストに跳ね返っている上に、当初の計画(脱原発する2022年に完成予定だった)通りに建設が進んでいない。現時点では2025年完成予定。

例えば、風力による余剰電力を北ドイツのコミュニティーに貯めておいて、送電網が空いている時間帯に南ドイツのコミュニティーに送るのだ。

<再エネ電力業界を覆い始めた暗雲>
ドイツの再生可能エネルギーの将来は去年まで輝いていた。ところが、今年に入ってから暗雲が漂い始め、将来を危惧する声が高まっている。まずこれまでの成果を見てみよう。

総電力消費量に占める再エネ電力消費の割合が2019年は42%に達するだろうと連邦エネルギー・水力経済連盟がつい最近発表した。2030年の目標である65%は達せられそうな途中経過数字だ。さらに2019年の再エネ電力による電力量:1830 億KWhは、褐炭と石炭による電力量:1250 億KWhを大きく引き離している。

これまでに建てられた太陽光の定格出力は48000 MW、風力は53500 MWである。原子力発電所の定格出力は主に一基1000 MWである。原発は一応24時間連続運転ができるとされている(実際は点検、故障もあるので効率は下がる)のに対し、太陽光の稼働効率は平均すると12%、風力は25%といわれている。単純に換算すると、それぞれ原発の6基分、13基分に相当する。

ところが昨年まで順調に伸びてきた再エネ電力の建設の進み具合が今年に入ってグッと遅くなっている。2019年9月の風力の入札公募額500 MWに対して落札されたのは176 MWに過ぎない。この5年間の平均建設速度に比べて80%も遅くなっている。このままでは2030年の65%の目標は達せられそうにない。

その原因として建設面積の不足(広大な平地にもかかわらず)、長期化する許認可の手続き、さらに住宅地域からの最低立地距離(州によって違うが約1km)と地域住民(右翼党「他の選択肢党」などが組織している)の反対などが挙げられている。

<見逃されやすいドイツと日本の地理的条件の違い>
ドイツに長く住んでいて、日本からのお客さんにドイツの再エネの素晴らしい進展状況を見せると、なぜ日本は少ないのだろうかとよく聞かれる。筆者の見るところ、地理的な条件の違いが意外と見逃されているように思われる。簡単な数字だが、日本における平地面積は国の27%、ドイツは76%である。つまり、太陽光発電や風力発電用に転用できる面積がドイツでは圧倒的に広い。日本からの友人を乗せて北ドイツを案内したことがあるが、アウトバーンを走りながら、見渡す限りの平地に数百本もの風車が林立しているのをみて、彼は「日本ではあり得ない」と絶句していた。日本では平地があれば、人が住んでいるか、工業地帯か、耕作地である。山岳地帯に再エネの発電施設を作る場合には、コストとして跳ね返ってくる。それと将来期待されている洋上風力発電だが、ドイツの海は北海もバルト海も遠浅で数十キロ沖合でも数十メートルの深さに過ぎないから、急峻な地形の日本の海に比べて、風力用の鉄塔建設において技術的にも費用の面でも大きな違いが出てくる。バイオマスにおいても、建設費用(一億円以上)はドイツの中規模の農家(平均耕作地60ヘクタール)が十分出資できる範囲である

<市民社会が推進力>
それと脱原発とCO2の削減を求める市民社会にも大きな違いがある。今年に入って巨大なうねりになったスエーデンのグレタ・トゥーンベリ さんが始めたFreidays for Future運動はドイツの若者の間で燎原の火のように広まり、9月20日(金曜)には140万人もが参加した。緑の党は今年に入ってからの選挙で得票率が倍にも増えている。2030年の目標の達成にやる気を出さない政府与党(キリスト教政党と社民党)の得票率は減るばかりである。特に若者の間で。

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太陽光発電は蓄電池とセットで

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☆☆短編映画『動かぬ証拠と原発事故』が完成しました☆☆
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「東海第二原発の再稼働に反対し廃炉を求める要請」を多くの議会で審議し、意見書を採択するためにご協力ください。
木村 結

東電は、日本原電に2200億円もの支援を今月末に正式に決定すると報道されました。日本原電への融資を許すことは、東電に原発再稼働を許してしまうことと同様です。

茨城県取手市の市議会は、2011年の福島原発事故を受けて最も早く、東海第二原発の再稼働反対の意見書を決議した自治体ですが、今回、原自連の要請を受けて、再度経産省などに対して意見書を採択してくださいました。

他にも要請を受けて審議してくれている自治体があります。審議してくださる議会には、意見陳述のために出向きますので、是非お住いの議会に陳情してください。ご相談お待ちしています。   03-6883-3498(原自連事務局)

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停電させないためには太陽光発電と蓄電池をセットで
―賛同人の加藤秀司さんにインタビューさせていただきましたー

<原発は必要だと思ってた>
木村結:加藤さんの会社株式会社サンコーは住宅に関わること全般とエネルギー関連とかなり守備範囲が広いようですが、今日はエネルギー関係に絞って伺います。自然エネルギー事業を立ち上げようとしたきっかけからお話ください。

加藤秀司:個人と会社と分けてお話しさせていただくと、原点は大学の卒論で「原発の経済性」について書いたことです。それ以前は原発はやったほうが良いと思ってました。その頃石油の備蓄がなくなると騒がれていたので、商学部でしたから、原発をやることで石油の節約になるのか、コスト的に得か損か、を徹底的に検証しました。しかしコスト計算の俎上にも載らない技術だと。10万年間のゴミ処理の費用を為替レートでいくらとみれば良いのか。そもそも10万年後に為替は存在するのか。いろいろ調べた結果、原発の事実を知って大変ショックを受けました。また、当時3割の電気は原発だと聞いていたので、10本の蛍光灯があれば、3本が消えると思っていたのです。原発を止めても電力が余っていることを知った時もとても驚きました。

会社の社長になって20年になるのですが、最初の4年は太陽光を扱いませんでした。原発をやっても石油の節約にならないのは卒論の執筆でわかった。ウラン掘るのも化石燃料で掘って、運んで、約40年間発電する量とその後数万年にわたって処理する量なんてコスト的に比較にならないな、と。でも太陽光もパネルをシリコンから精製するのも化石燃料を使うじゃないですか。以前の技術力では発電の効率も悪いし、年数も持たない、太陽光も原発同様石油の節約にはならない、と判断したのです。それでお誘いはあったけど手を出さなかった。しかし、ペイバックタイムに見合う時期が来た。飯田哲也さんが詳しいですが、太陽光を作るのに必要な化石燃料よりも、生み出すエネルギーの方が大きくなった、と判断できたのが2003年の秋だった。それで太陽光を事業にしました。

サンコーは、206億の年商のうち20億はエネルギーなんですが、サンコーの得意技は工事力なんです。ハウスメーカーさんを含めて今職人さんが本当に不足しているので、僕らのような資材会社が工事の多くを担っているのです。窓なんかも、うちの工場でガラスを組み立てて現場に運んで取り付けています。そこが得意技なんです。年商200億の内70億は工事を伴う売り上げになっています。そして太陽光にしても約400キロのパネルを屋根に載せるわけです。更に屋根に穴を開けて取り付けますから建築を解っていないと雨漏りをさせてしまうリスクが発生する。だから私たちが担うべき仕事だと考えました。ちなみに私たちの工事では16年間1件も雨漏り等の事故はありません。

ビジネスとして、僕たちこそがやらなきゃいけないと思っています。社内からは開始当時「また社長訳わかんないことをやっている。太陽光なんて売れる訳ないだろ」と言われました。月3セット売れただけで当時はフィーバーでしたね。まともな経営者ならこんな採算の合わない事業は辞めていたでしょうね。
加藤:名古屋の本社隣のショールームでは、3階建ての建物の屋根に6つのメーカーのパネルを載せてリアルタイムで発電量が一階のモニターで見えるように展示しています。蓄電池も実際に接続していますから停電実験もできます。今から停電させますと遮断して、その後1秒くらいで電気がつくところをお見せしています。

私は、野立ての自然破壊メガソーラーって大嫌いなんです。それより例えばドラックストアなどで、屋根に載せて電気代を減らしたいというニーズが増え始めていて、これこそ推進したい。僕らにとっては新市場です。送電線の空き容量のくだらない問題も、店舗が屋根に載せて電力を使えば送電線を介さないからその分容量が空いてくるし、かなりの分は解決するのです。僕は送電線をとことん空けてやろうと思ってます。これはドイツでも実現しています。

<太陽光と蓄電池をセットに>
木村:47号のメルマガに、早くから太陽光発電と蓄電池をセットで販売していらっしゃると書いておられましたが、すごい先見の明がおありなんだなと思いました。

加藤:停電した時は、太陽光載っけていれば昼間は電気がつきますが、夜になれば真っ暗になってしまいます。蓄電池があれば夜も電気が使えます。台風15号・19号で停電した家に太陽光と蓄電池があればどんなに助かっただろうと思います。

経済メリットもあって、太陽光で貯めた電力を夜使ったほうが安いんです。電気代は、今も高いし、今後は倍になると思います。今回の台風で高圧鉄塔が倒れたこともあって送電網への投資は待ったなしになりました。電力会社は送電線の老朽化についてはわかっていたけどコスト面からやらなかった。加えて福島の原発の処理費用も当然ですし、消費税も上がっている。今は25円から30円で我々は電気を買ってますが、この単価は50円になると予測されています。

それなら貯めて使ったほうが経済的なんですよね。ただ、太陽光と蓄電池をセットで買うと高額なので、当社独自のリースを勧めています。契約者は自己資金ゼロで設置をします。そして毎月のリース料だけを10年間当社に払ってもらいますが、リース料よりも売電収入と電気代の削減を合わせると月700円程度おつりがくる設計になっています。年8,400円のお得です。リース期間の10年間で84,000円のおつりがくる。節電すればその分おつりが増えます。

そして10年後に太陽光と蓄電池は契約者のものになる。メーカー保証は15年間付いています。これは表立ってはメーカーは言いませんが、日本国内の一流メーカーの太陽光パネルは、実は住宅の寿命よりも長い耐用年数があります。蓄電池は太陽光パネルほどではありませんが保証期間の15年以上は軽く持つでしょう。

サンコーでは実は、海外メーカーは採用していません。色々議論はありますが、日本のように湿気が多いところで、しかも屋根に付けますよね。日本の屋根は海外の屋根形状と違って伴う強度がないために反ってクラックが入ってしまうこともある。それで一気に発電量が落ちる。僕は艱難辛苦を乗り越えてきた、シャープ、京セラ、三菱、等国内メーカーしか扱いませんと宣言してます。

太陽光+蓄電池のリースというのは我ながらアイデア賞。まだサンコーしかやってません。もう一ついいのは、費用がかかりませんから新築やリフォームをする際に、家そのものにその分のお金を掛けることができます。

こうした活動を通じて、自家発電できる住宅を増やしていって今でも要らない原発をもっと要らない状態にしたいと考えています。

木村:この住宅を建てた人は、原発はいらないと身をもって知る訳ですね。うちはもう原発に依存していないのに、東電から電気を買っている貴方の危険性を一緒に負担しなきゃいけないの、という話ですね。徒党を組んで反対して欲しいですね。

加藤:産業用もリースでやろうとしています。ドラッグストアなどの設備だと太陽光への投資額が5000万だ1億だという話になる。企業もなかなか投資にお金を掛けられないところもありますから、リース契約によって10年間電気代をソーラー効果で安くして10年後に貴方のものですという仕組みを産業用でも展開しようとしています。自然エネルギーによる自家発電をやらない理由をつぶしたい。これでもやりませんか?と言えるようにしたいのです。

<蓄電池普及の障害>
木村:日本では、自分で発電して自分で使うことに日本の制度では障害があると思いますが。

加藤:住宅用は規模が小さいので障害はありませんが、産業用で困っているのは、工場などの場合、月曜から金曜は屋根の上で発電した太陽光の電力を工場で使えるんですが、休みになると電力を消費しないのでその分電気が余りますが、これを送電線に繋いでくれないんです。タダ同然でもいいから繋いでください、というんですが難しい。その場で電気を捨ててしまうと危険ですよね。かといって休みの度に切りに行ってください、とも設置した会社にお願いできない。ドイツだと当然引き取ることになっている。ここは何とかしてもらいたいです。

木村:太陽光パネルには自治体が補助金を出して普及しましたが、蓄電池に出す自治体は少ないですね。

加藤:今回の台風15号・19号の影響で今後、補助金をつけるようになるではないかと期待しています。

僕が代表を務める住宅事業者団体で講演した際に、聴きにきていただいた環境省の方から、後に省内に招かれて同じ話をするように依頼されて行ってきました。ドイツで普及している新たな電力融通の仕組みに、75億予算を付けますと言ってくれました。災害の前でしたが、僕らが考えていることに思いを寄せるようになっている、と痛感しました。

ちなみにその席で、先ほど述べた資金のいらないリースに補助金を付けて欲しい、とお話ししました。このリースには唯一欠点があります。それはユーザーが怪しむのです。話がうますぎると。怪しくないのに(笑)だから補助金目当てでなく、環境省さんも推進しているという証が欲しかったのですが。

家庭用の蓄電池より電気自動車を蓄電池代わりにした方が良い、という意見も多いようですが、車は電池容量が大き過ぎてそこまで電気を使い切れないし、車と住宅を繋ぐインバーターはまだ高額ですし現状では家庭用の蓄電池で充分だと考えています。

木村:自治体が補助金を出すと言っても1割程度ですが、少ないですね。環境省が地球温暖化対策のため、太陽光パネルと蓄電池セットで設備すれば、災害対策にもなりますよと小泉進次郎さんが音頭をとって環境省も補助金出しますと言ってくれるといいですね。政府は自然エネルギー推進しますと口では言ってますが、足を引っ張るようなことばかりしていますから、頑張って欲しいですね。

<明後日の日本だ。明日ではない>
加藤さんは、ドイツに毎年視察に行かれているようですが、どのようなきっかけで、またこれまでに何回行かれてますか。

加藤:この9月で8回目になりました。僕は国内で原発が必要だと主張されて、かつ影響力を持っているのって経営者だと思うのです。それが原発ゼロが進まない大きな理由だと思います。経営者が不勉強なだけですが。

僕には実はドイツは環境意識も高い変わった人たちだという偏見があったんです。しかし行くようになって知ったのは、環境意識も確かに高いですが、それ以上に経済合理性でやっているんですね。

なので「明後日の日本だ。明日ではない」と思った。明後日に向かって明日どう準備するか、です。少子高齢化は日本もドイツも一緒。人口8,000万人くらいで国の規模もあまり変わらない。資源として石炭は取れますが、ほとんど海外から買っているからこれも日本と一緒。ドイツは海外から燃料買うくらいだったら、暖房しなくても良い建物を造り、国内の建材メーカーとか建築会社に燃料を海外から買う分のお金を落とした方が良いというのが大元にあるんです。

木村:そうなんですよね。ドイツはものすごい倹約家の国ですね。

加藤:日本は化石燃料や原発のウランなどの4大燃料を20兆円海外に払っている。毎年毎年。20兆円って全国民が払っている10%の消費税分ですよ。方や自然エネルギー導入のための賦課金、今は2,4兆円。将来でも最大5~6兆でしょう。これと比較すべきコストが燃料費の20兆円だと思います。加えて電力を融通する仕組みがドイツでは普及しています。よく風力や太陽光って安定しない欠点があるから日本ではダメと言われてますけど。

ドイツは安定しないものをどうやったら安定するかを考えるイノベーションが発達している。それをいつも見に行っているんです。それにドラッグストアの屋根上の太陽光はドイツがヒントでした。売電目的じゃなく、自家消費するためなのか。これは日本でもいけると思いました。

ドイツのある太陽光発電企業の女性の説明委員に説教されましたよ。ドイツでは2035年に原発を辞める計画を2022年にしました。何故かわかりますか?福島の事故です。なのになぜ日本は、と。

ドイツにはずっと行き続けようと考えてます。正義感で自然エネルギーや省エネ建築をやっているんだと思っていたらそれだけではない。経済合理性であり、日本が真似できることだと心から思えました。

視察の受け入れでお世話になっているドイツ在住の日本人で本当にエネルギーのプロの方が言っていました。自然エネルギーに関して「ドイツにあって日本にないものは一個しかありません」と言われた。「それはインフラじゃない、コストじゃない、技術でもない、それは『やる気』です」と。電力の専門家なだけにとても説得力がありました。そっちに変えて行くための自分なりの準備としてドイツ視察に行き続けています。

<自然エネルギーの売買会社>
木村:これまでいろんな事業体を訪問したと思いますが、特に素晴らしいのはどういう会社ですか?

加藤:2社あって、ネクストクラフトベルケ社という電力の市場取引をしている会社です。もう一つはゾンネンという蓄電池メーカーです。実はドイツは既に設備容量では自然エネルギーだけでピークの需要を上回っているんです。なのに電力にしめる自然エネルギーの割合は4割しかない。

この理由は太陽光や風力は安定しにくいし、ユーザーは気ままに電力を使用するからです。だから自然エネルギーを貯めたり融通したりする仕組みをドイツでは一生懸命進めている。

その先駆者的な企業が僕の見た中では2社あってそれがネクスト社とゾンネン社。彼らは証券会社みたいに自然エネルギー電力を電力市場で売り買いして自然エネルギーを持つ企業や個人に収益をもたらす、という事業を成功させている。これをいつか日本で取り組みたいと思っています。

東北電力はネクスト社と5月24日に業務提携しました。日本にはまだ固定価格買取制度がありますが、ドイツはもうない。自分で太陽光発電している人は、売り先を見つけないといけないけどそんなことは個別にはできない。

こういう会社が市場で取引してくれて太陽光持っている人たちに収益をもたらす。ネクスト社は原発6機分の電力取引をしています。自身では1機の発電所も持たず、発電能力で原発6機分はすごいなと思いました。

良い仕組みですが今の日本ではできません。そもそも明確な発送電分離と公正な市場がないと。

木村:発送電分離にする規定として、取締役などは兼務してはいけないことになっていますよね。

加藤:ドイツでは発電会社と送電会社が事前に打ち合わせもしちゃいけない。中立性が保証されないといけない。ところが、日本の電力会社の多くはホールディングの下に発電会社と送電会社がぶら下がる形になりますから、中立性が保たれるかはとても疑問です。

決定的なのはドイツでは優先接続の制度があって、太陽光風力などの自然エネルギーを優先的にに接続しなさいという制度があるんです。国が明確に決めていてこの中における自由競争なんです。こうした政策の背骨をなしに、ドイツの政策を真似て予算にしようとしても実効性は乏しいとは思います。

ただ官僚の方の中にもこういった方向性に前向きな方は増えている気がしますし、例えば先ほど述べた環境省さんのように。今後良い方向に進むことは期待したいです。ただ予算の対象に関しては、これからより有効に活用されることを期待したいです。

木村:75億もったいないですね。縦割りだから自分の省内のことしか考えてないですね。省庁間で横に連携して頭を絞って欲しいですね。

加藤:今後そういった方向に進んで欲しいです。

木村:その補助金、太陽光と蓄電池セットで整備する世帯に2割ずつ補助金として出せばいいじゃないですか。

加藤:大臣も変わりましたので、提案していきたいですね。お話しをすれば受け止めていただけるんですね。これからもドイツに行きながら提案し続けたいと思います。日本の自然エネルギーのシェアは16%だと言いますが、太陽光風力ではまだ5~6%。もう終わったとかいう声が大勢ですが、始まってもいないのだと言い続けています。

木村:原自連がやらなければならない課題もたくさんありますね。ありがとうございました。

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☆吉原毅 講演会   11月28日(木)滋賀大学

☆小泉純一郎  講演会 12月1日(日)薩摩川内市

☆小泉純一郎  講演会  2020年1月25日(土)群馬県沼田市
☆小泉純一郎  講演会  2020年3月15日(日)新潟県柏崎市

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「福島原発事故刑事裁判判決に寄せて」
中原伸之

元東亜燃料工業株式会社社長で元日本銀行委員会審議委員、オイルショック時には、エネルギー問題の専門家として政府の政策立案に活躍された中原伸之様より、経営者として、今回の判決に対する厳しくも的確なご意見が寄せられました。

ちなみに中原社長は、川崎にある東亜燃料工業の巨大な石油コンビナートの建設にあたり実際にこうしたアセスメントを行い、地盤改良工事など各種の防災対策を万全にしたために、東日本大震災の時にも、全く問題が発生しませんでした。これが一流の経営者というものです。        (吉原 毅)

以下が中原様のメッセージです。

経営者の意思決定が何たるかを知らない無知の判決。経営者の意思決定は、1.複数ー少なくとも三択ーの選択肢を設定し、2.その中からベストを選択する。福島原発の場合は選択肢は防波堤の高さを5m、10m、 15m、或いは10m、15m、20mの3ケースとし、津波が防波堤を越える確率を例えばそれぞれ70パーセント、 20パーセント、10パーセントと置く。次に各選択肢についてcost及びbenefitを計算costは必要な投資額。簡単に推定出来る。問題は benefit。防波堤の高さを越えて津波が発生した場合に生ずる損害額を推定する。ところが、本件では、勝俣社長の選択肢は現状維持の一つだけ。一択のみ。これが第一の問題点。

確率は100%。100%に伴うcostはゼロ。損害額もゼロと推定した。万が一、津波が現状の防波堤を越えた場合の損害額は全く計算していなかった。これが第二の問題点。

しかし防波堤を超える津波が実際に発生したため、損害額は極端に言えば無限大。全くお話にならない決断であった。しかも、損害保険でカバー出来ない天災などによる被害に対して、いくらの自家保険を積み立てていたか。自家保険の有無とその額。これが第三の問題点。

尚、本件は、停止中の原発の再開問題と酷似している。ご注意あれ!原子力規制委員会の再開のお墨付きは、勝俣社長の妄断と相通ずるものがある。

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