原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟
2018年1月10日
全ての原子力発電の廃止及び自然エネルギーへの全面転換
の促進に関する基本法案(骨子案)
〈略称〉原発ゼロ・自然エネルギー基本法案
第一 目的
この法律は、全ての原子力発電の廃止及び自然エネルギーへの全面転換の促進に関する基本的な理念及び方針を明らかにし、国等の責務及び推進体制等を定め、もって、我が国エネルギー構造の転換を実現することを目的とする。
第二 基本理念
東京電力福島第一原子力発電所事故によって、原子力発電は、極めて危険かつ高コストで、国民に過大な負担を負わせることが明らかとなり、使用済み核燃料の最終処分も全く見通しが立たない。また、原子力発電による発電量は全体のわずか1%(2015年段階)にすぎず、重要性を失っている。したがって全ての原子力発電は即時廃止する。
世界各国において自然エネルギーへの流れが急速に拡がり太陽光発電と風力発電ですでに原子力発電の設備容量の二倍を超えている。我が国のエネルギー政策においても、新たな産業と雇用を創出する成長戦略の柱として、安定的な電源となる自然エネルギーへ全面的に転換する。
このようなエネルギー構造の転換は、温室効果ガスの削減による地球環境の保全と経済構造の変革を伴う新たな産業革命を実現し、国土とエネルギーの安全保障、国民生活と食糧・農業の安全保障をもたらし、将来世代にわたる国民の生命と健康が守られ、平和のうちに安心して暮らせる自然エネルギー社会の形成に資するものである。
第三 基本方針
一 運転されている原子力発電所は直ちに停止する。
二 運転を停止している原子力発電所は、今後一切稼働させない。
三 運転を停止した原子力発電所の具体的な廃炉計画を策定する。
四 原子力発電所の新増設は認めない。
五 使用済み核燃料の中間貯蔵及び最終処分に関し、確実かつ安全な抜本的計画を国の責任において策定し、官民あげて実施する。
六 核燃料サイクル事業から撤退し、再処理工場等の施設は廃止する。
七 我が国は、原子力発電事業の輸出を中止し、人類の平和と安全のため、かつての戦争被爆及び原子力発電所重大事故の当事国として、地球上の原子力発電全廃の必要性を世界に向けて発信する。 八 急速に進んでいる省エネルギーをさらに徹底させる。
九 太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス等の自然エネルギーを最大限かつ可及的速やかに導入する。自然エネルギーの電力比率目標は、平成42年(2030年)までに50%以上、平成62年(2050年)までに100%とする。
十 地域経済の再生のため、各地域におけるエネルギーの地産地消による分散型エネルギー社会の形成を推進する。
第四 国等の責務
一 国の責務
国は、第二及び第三の基本的な理念と方針に則り、全ての原子力発電の廃止及び自然エネルギーへの全面転換を実現する責務を負う。そのため、次に掲げる法制、財政、税制、金融上の措置その他の措置を講ずる。
1 原子力基本法、原子炉等規制法、エネルギー政策基本法、経済産業省設置法等の改正を行う。
2 原子力発電の円滑な廃止のため、原子力発電施設を保有する電力事業者の企業会計等に関する特別措置を講ずるとともに、廃炉技術者の育成及び廃炉ビジネスの海外展開を支援する。
3 原子力発電関連地域及び関連企業の雇用確保、及び関係自治体の経済財政対策を行う。
4 省エネルギーの徹底のため、全ての建築物の断熱義務化、公共施設の省エネルギー及び自然エネルギー利用の義務化等
5 自然エネルギーへの迅速な転換のため、自然エネルギーによる電気の送電線網への優先的な接続及び受電、農作物生産と発電の両立を図るソーラーシェアリングの促進等
6 分散型エネルギー社会形成のため、エネルギー協同組合の創設及び同組合の設立支援等
二 地方自治体の責務
地方自治体は、国の施策に準じて必要な施策を講ずるとともに、地域の実情に即した施策を策定し、実施する責務を負う。
三 電力事業者の責務
電力事業者は、全ての原子力発電の廃止及び自然エネルギーへの全面転換の促進に自主的に取り組み、国及び地方自治体が講ずる施策の推進に全面的に協力する責務を負う。
第五 推進体制
一 推進本部及び推進会議の設置
内閣に、総理大臣を長とし関係国務大臣で構成する原発ゼロ・自然エネルギー推進本部及び有識者等で構成する推進会議を設置する。
二 推進本部及び推進会議の任務
推進会議は、全ての原子力発電の廃止及び自然エネルギーへの全面転換に関する基本計画を策定し、推進本部は、それに基づき、諸施策を確実に実施する。
第六 年次報告
政府は、毎年、全ての原子力発電の廃止及び自然エネルギーへの全面転換の推進状況に関する報告書を国会に提出しなければならない。
第七 附則
この法律は、公布の日から施行する。
(以上)