「発電市民」が都市を変える

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戦時下のウクライナからの詩          藤木 八圭

「発電市民」が都市を変える          小宮 武夫

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戦時下のウクライナから詩を3編紹介します。
連日、報道されている「ウクライナ戦争風景」とは異なるでしょうが、
これが市井の現実ですし、これが“戦争”です。
私もかつて、これと似た現実を見ました。 ビアフラで・・
藤木八圭

詩編1 『食べ物』 名前:サーシャ  リヴィウ在住

うちに一人のおじいちゃんがきていました。
「どうぞ召し上がれ!」。
何度言っても断ろうとするのです。
そこでわたしは、この国の高齢者に必ず効くと、ある方便を使います。
「召し上がってくださいね、どうせ捨てることになるんですから」
すると彼曰く「分かりましたいただきます」
ちょうどナイフとフォークを切らしていたから、急いで取りに行ったんです。
戻ってくると、おやまあ、おじいちゃんはもう素手で食べているんではありませんか。

詩編2 『妊娠』  名前:ターニャ  ドネツク在住

2014年の夏に赤ん坊を抱いてドネツクから脱出しました。
それ以来、わたしはひどく妊娠を恐れていました。
妊娠すると、そのとたんにまたすべてが始まってしまうんじゃないか、と。
ことろでキーウ郊外から逃げようとした時点ですでに妊娠2か月でした。
チェルニウツイに着いたところでわたしの妊娠はぴたりと終わりました。
医者に聞いたけれど、戦争が始まったときから診ている妊婦の3人に1人は、
同じように、先にこの世を去ると決めた赤ちゃんを身ごもっているそうです。
医者になって30年間、こんなことは見たことがないそうです。

詩篇3  『痛み』  名前:アンドリー   リビウ在住:
痛みはどんな臭いががするか、って?
臭いのバリエーションは、一時緊急避難車に乗ればたいがい分かるもんだ。
まず何よりも、市場の精肉の臭い。
血液の、甘く、わずかに金属っぽさの混じった臭いだな。
痛みは、汗とか、何日も洗っていない体の臭いもするし、アルコール、ヨウ素溶液、
塩素の臭いなんかも付け加えられるね。
この臭いの束を仕上げるのは、戦場の煙とコーヒー、そしてタバコの臭い。
痛みの臭いは、忘れられるもんじゃない。

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「発電市民」が都市を変える
―浪江のちち牛が伝えるものー
小宮武夫

朝日新聞(2024年3月11日朝刊文化面)によれば、ハンガリーの巨匠タル・ベーラ監督の指導で内外の映像作家が福島で創った作品の上映会がこのほど開かれ、日本の作品では福永壮志監督の「浪江ちち牛物語」が注目された。

この映画は、原発事故で住民が避難した後の浪江町で、残された乳牛を安楽死させる酪農家が作った紙芝居が元になっている。手塩に掛けて育てた牛が「一瞬にして奪われてしまった」事に福永監督は「大変なことが起こった」と伝えている。

“牛を殺す”と云うのは酪農家にとって宿命的な“聖なる儀式”である。
生計のために、我が子のように育てた牛の未来を奪うことで一人前の酪農家が誕生する。職業とは本来、自分の未来のさまざまな可能性をあたかも手塩に掛けた無垢の子を殺すように“聖なるもの”に捧げ、代わりに冷酷な現実から糧を得る“鬼の宿業”なのだ。

浪江の大量な安楽死とは、そうした人間の聖なる儀式とは縁もゆかりもない、ナチスの“ホローコスト”と同類の、核の本質がもつ暴力の現れだ。放射能と同様、目には見えないこの暴力は、希釈された汚染水が海の魚に潜り込むように私達の日常に滲透して権力に対する無気力や暮らしの息苦しさの素になっているのではないか。

異常気象や地震など科学である程度予測されうるものなら打つ手はある。例えばかつてニューヨークでハリケーンの高潮被害の経験から住民の合議で実施された沿岸地域の都市改造などよい例だ。

それに較べ日本でここ数年来、専門家が警告する首都直下型地震に対する東京下町区部の対応はどうだろう。東日本大震災をはるかに超える死者が予測されているのに組織も個人も人ごとの様に、丁度福島原発事故で知らぬ振りをしてやり過ごした同じ冷血さと付合してはいまいか。

しかし、変化の兆はあるのだ。東京の新築住宅に課される太陽光発電パネルの設置義務化がそれだ。人々はエネルギーを自前で自宅生産する事になるから、もはや他人ごとではない。すると地震で壊れるような家では投資の意味がないし、自分の街が壊滅しても更に共に困難が増す。都市改造の問題に必ずや議論が拡がる筈だ。人々のそれぞれの発電が公共の街造りの問題に進化していくのだ。

今起こっている戦争や紛争はエネルギーと食糧が原因であり、武器にもなっている。だから核で威嚇する権力者にこの二つを頼ってはならない。甘い補助金で核のホローコストに誘い込む黒い牛(原発)にトドメを刺し、鬼の宿業を背負った若者のように太陽光発電で自立しなければならない。そこから発電市民と云う新時代のプロフェッショナルが誕生するのだ。

民主主義は言葉による口先の遊びとは訳が違う。情報社会の栄養素であるエネルギーという生産要素が市民の小さなプロダクツとしてそれぞれの家庭で自給できるようになったことが大きい。この産物の小さなやりとりから花咲か爺のように民主主義という大きな花が咲くのだ。

浪江の牛もただでは死なない。こうして映像となって原発という冷血と戦っているのだ。発電市民は消された乳牛のためにも聖なる祈りを込めて、一枚の太陽光パネルに思いを託さねばならない。それがプロフェッショナルの秘密。新しい発電市民の熱血の秘密なのだ。今、監督が云うように「大変なことが起きている」のだ。
2024年3月11日

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能登半島地震と原発リスク

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能登半島の先端の珠洲市に住み、原発の危険性を古くから訴えていらした北野進さんに原稿をお寄せいただきました。
北野進さんは、19日に日本外国特派員協会で、記者会見を行っています。
録画はこちらからご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=UimKI4tdTVo

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能登半島地震と原発リスク

志賀原発を廃炉に!訴訟原告団北野 進

1.阻止できて本当によかった「珠洲原発」
元日に発生した能登半島地震によって奥能登の風景、人々の暮らしは一変してしまいました。珠洲市や輪島市では多くの地域が壊滅状態です。さらに被害は中能登地域から金沢市内へ、さらには富山県、新潟県にまでも拡大しました。

マグニチュード7.6、最大震度7という今回の大地震の震央は、かつての珠洲原発の予定地・高屋のすぐ近く、関西電力が立地可能性調査を計画していたエリアの裏山です。高屋では激しい揺れに加え、がけ崩れも多数発生し、多くの住宅が倒壊しました。

港の岸壁にも多数の大きな亀裂や陥没が生じ、原型をとどめていません。何より驚くのは地盤の隆起です。予定地前の海岸にはきれいな遠浅の海が広がっていましたが、今そこには岩場が広がっています。防波堤を見れば隆起が約2mにも及んでいることが確認できます。

いうまでもなく、隆起したのは海域だけではありません。原発が建設されたであろう陸域にまで及んでいることは間違いありません。かつて、原発計画があった当時、電力会社や国は「原発は強固な岩盤の上に建てるから大きな地震が来ても大丈夫。万が一大きな地震が起きたら発電所構内に逃げ込んでもらえば一番安全だ」などと豪語していました。当時の知見では、高屋の沿岸域に大断層が走っていることを把握できておらず、調査する気もありませんでした。地盤の隆起など想像すらしていなかったのではないでしょうか。

高屋の集落は地震後孤立し、その後もしばらくは自衛隊の車両しか入れない状況が続きました。高屋の西方約8kmにある中部電力の予定地・寺家(じけ)でも1m程度の隆起がありました。近くの集落では激しい揺れに加え、津波が襲い、沿岸部の家並みは見る影もありません。

現在の防災計画ではPAZ(原発から5km圏内)に該当する地域であり、「全面緊急事態で即時避難」ですが、住民は高台に駆け上がるのが精一杯です。高屋、寺家に限らず奥能登全体が地震後はほぼ孤立状態でしたから、もし原発が立地されていれば、重大事故でも避難すらできず、福島以上に悲惨な原発震災となっていたかもしれません。珠洲原発の反対運動を応援していただいた全国の皆さんにあらためて感謝申し上げたいと思います。

2.止まっていて幸運だった「志賀原発」

今回の大地震は、まったく予想されていなかったわけではありません。珠洲を中心とした奥能登では3年前から群発地震が続き、一昨年は震度5強、昨年5月5日には震度6強の揺れが市内を襲いました。専門家からは「さらに大きな揺れに警戒を」との声が上がっていました。マグニチュード7クラスの地震を引き起こす大断層が能登半島の北部沿岸を走っていることが今では明らかとなっており、一連の群発地震がこの断層を刺激し、大地震の引き金となる可能性を指摘していたのです。

北陸電力が志賀原発2号機の適合性審査のために原子力規制委員会に提出している資料によれば、「能登半島北部沿岸域断層帯」として長さ96km、想定マグニチュード8.1とされていました。今回の地震は、マグニチュードは北電の想定を下回りましたが、動いた断層は約150kmとされ、北電の想定を大き
く上回りました。

北電が想定していなかった断層の連動があったと言わざるをえません。どの断層が動いたのかは今後の分析を待たなければなりませんが、佐渡方向ではNT2、NT3という2つの断層の存在が知られており、今回の震源域に含まれます。北電は審査会合の中で連動の可能性すら検討しておらず、規制委も検討すべきとの指摘すらしていませんでした。全くのノーマーク状態です。

西側(志賀原発沖合側)では、2007年の能登半島地震の震源となった笹波沖断層帯との距離が近いことから、北電は連動の可能性を検討し、「連動しない」との判断を示していました。規制委もその判断を追認する方向で議論は進んでいました。今回の地震は、事実をもって北電、規制委の活断層評価能力を否定したと言えます。

昨年の北電株主総会で私は、笹波沖断層帯との連動の可能性や、志賀原発のリスクについて問いました。これに対して北電の小田常務は「設備に影響を及ぼす可能性のある断層を確実に把握し、耐震設計に反映している」として笹波沖断層帯の連動を否定し、能登半島北部沿岸域断層帯でマグニチュード8.1の地震が発生しても志賀原発は大丈夫と答えたのです。

ところが実際は活動域はさらに東西に広がり、しかもマグニチュード7.6の規模でしたが、1系統2回線で外部電源が受電できなくなり、非常用ディーゼル発電も一台が自動停止するなど、発電所内では多数のトラブルが発生したのです。

今年の株主総会では北電の能力・資質についてさらに追及しなければなりません。原発の防災対応でも欠陥や限界が露呈しました。今回、志賀町は震度7、そして大津波警報が発令されたことから、志賀原発は警戒事態に至りました。

原子力規制庁と内閣府は合同警戒本部を立ち上げ、志賀現地では石川県も加わり現地警戒本部が立ち上がりました。しかしそれは形だけで、その対応はお粗末極まりありません。石川県など地元自治体は地震対応だけで大混乱で、原子力災害に手が回らないことは明らかでした。

北電の危機管理能力のなさは一連のプレス発表の混乱からも明らかです。迅速・正確な情報発信は到底期待できません。原子力防災は初動対応の段階ですでに破綻です。いずれにしても、このように原発を運転する資格のない北陸電力ですが、志賀原発は1、2号機ともに2011年3月から停止中だったことから、今回は幸運にも危機的な事態は回避することができました。再稼働を許さず今日までこられて本当によかったと思います。

3.能登半島地震は最後の警告

一方、北電には「幸運だった」との認識が全くなく、1月31日、能登半島地震後初の記者会見に臨んだ松田光司社長は「志賀原発の安全確保に問題はなく、原子力の重要性は変わらない」と強気の姿勢を貫きました。こうした中、私が地震の翌日から心配しているのは「果たして今回の大地震で、3年前から続く一連の地震活動は収束するのだろうか。

次の大地震へのカウントダウンが始まったのではないか」ということです。今回の地震が周辺断層の新たなひずみを生み、新たな地震のリスクが高まっているとの指摘も専門家から相次いでいます。

北陸電力が志賀1、2号機の設置許可を申請した当時は、能登半島周辺には大きな活断層はないとされていました。しかし、現在、北電が規制委に提出している資料を見ると、能登半島周辺には能登半島北部沿岸域断層帯以外にも、マグニチュード7クラスの大地震が想定される活断層が何本も走っています。

連動すればさらに大きな揺れとなります。また志賀原発の10km圏内に絞ってみれば、東側にはわずか1kmに福浦断層、西側には兜岩沖断層、碁盤島沖断層、そして北側には富来川南岸断層と、志賀原発は三方が活断層に囲まれていることがわかります。

基準地震動を引き上げればいいという次元ではなく、地表の変位が心配されます。再稼働を許さず、一日も早く廃炉に追い込まなければなりません。能登半島地震は地下の流体が原因とされる一連の群発地震が引き金となり、大きな断層の連動につながったと見られていますが、群発地震や断層の連動は、現在の地震学でも知見の積み重ねが少ない分野です。

原発に内在する莫大なリスク、リスクを回避できない地震学の限界、そして原子力規制委員会の限界を直視すれば、国内すべての原発の再稼働はありえません。再稼働した原発の運転継続もありえません。被災地を抱え、地元の運動は遅れ気味ですが、東電株主運動の皆さんはじめ全国の脱原発の運動に後れを取らぬよう、私たちも頑張りたいと思います。

(「脱原発・東電株主運動ニュース325号」より転載)

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「核や原発の『囲い込み』からの帰還」
―大江健三郎「恢復する家族」を読むー

小宮 武夫

北辰居其所
而衆星共之
―論語―  井上 靖

まだ四十代の頃、赴任していたブラジルで日系人の友達に頼まれ、日本出張の合間に手紙と土産品を井上靖のご自宅へ届けに伺ったことがある。ほんの短い会話であったが、別れ際に彼が最近出版した小説「孔子」をとり出し、記念にその本の内扉に上の文字を記して私に手渡してくれた。

それは大切な宝物として本棚に仕舞い込み、その内にきっと読む時が来ると思っていた。実は若い頃、彼の詩集「北国」の中の一篇、戦災を受けた街の天空に冬の北極星が静かに輝いている情景をうたった詩が気に入っていて、そのイメージに捉えられたまま齢八十を越してしまった訳だ。ところが最近、友に勧められて大江健三郎の「恢復する家族」を読むうちに、井上靖と「孔子」の話がでてくるのを見つけ、何かのめぐり逢わせを感じ、四十年ぶりに予感が現実のものになった。

お目にかかった時、彼が大病の後とは露知らず、「ブラジルにまたいらっしゃいませんか」とお誘いした。今にして思えば彼の微笑みは、苦難の果てに面会を目指す昭王の死に接し、帰郷を決断した孔子の風貌を想像させる。丁度孔子が「帰らんかな」と発した様に、その時彼の体には「北辰」に導かれる様にブラジルで味わった生命力が再び呼び戻されたのではないだろうか。大江が文中で「孔子」を取りあげたのも、障害を持つ家族の閉塞感を打破る気迫をその帰還に見たからだ。私もあの時、日本での会議から任地ブラジルへ単身で戻るというのに、サンパウロの空港で何故か不思議な安堵の感情が突如沸いたのを憶えている。危険や死と裏腹に再生への高揚感が三者三様、体に湧き出たのだ。

「恢復する家族」で大江は発達障害のある長男光と家族のやりとりを描くのだが、家族それぞれの日常の振舞いに危険や困難が隠れていて、それを跳びこえながら生きていく。そんな中で「仕方がない、やろう!」ともっと大きな再生に大江がステップを切れたのは孔子が「帰らんかな」と帰還を決意した骨太の思念に自分を投企したからだ。

しかし、大江の死後も世界の戦場化は益々拡大し、ウクライナ、パレスチナ、ミャンマーに留まらず日本の極東の戦場化に巻き込まれた。一月の能登半島地震では志賀原発の存在を疑うほどの危機も明るみに出た。

だが、核や原発を脅しに使う「新・囲い込み」で人々を死に追い込む権力にどう対抗すればよいのか。大江の家族の苦難同様、高齢の苦渋を背負う私には、あの北国の北辰が静かな抵抗の力を与えてくれる予感がする。北辰を戴く天空の“星の子”たる太陽、風や水や地熱など自然が供するエネルギーこそ古来から人々を支えた。そのエネルギーを自給することは「発電市民」として原子力や核を持つ権力に抗し自立する一歩となる。また「発電市民」は耕作放棄地からパネルでエネルギーを獲得し、ITによる食糧自給基地を育てていける。するとそこには、かつて「囲い込み」で農地を追われた人々の末裔が都市から戻ってくる。まさに孔子が発した「帰らんかな」以来の帰還である。

こうして大江の家族のような、障害を抱たり、AIから排除され差別を受ける人も、「衆星共に」新しい故郷をつくることができるのだ。

今や核や原発の闇と虚偽が世界を揺るがしている。死に頻した私達だからこそ一枚の太陽光パネルを梃子に囲いの外に身を投企し、グリーンな故郷を拡大すれば核や原発はやがてゴミと化す。「北辰」(太陽光パネル)が「衆星」(世界や歴史)を動かすのだ。               (了)

為政以徳
北辰居其所
而衆星共之
(旺文社版「論語」による口語訳)

徳によって政治を行えば、たとえば北極星が自分の場所にじっとしていて、多くの星がその方に向いて周囲をめぐるように、人民が心から帰服するようなものである。
(事務局注)

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志賀町町長「原発再稼働には慎重にならざるを得ない」

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能登半島には、志賀原発があり、地元の志賀町町長はこれまで推進の立場でしたが、能登半島地震で至る所で道路が分断され、救援物資どころか、被災者が逃げることもできない状況を目のあたりにし、東京新聞のインタビューに応えて原発再稼働には慎重にならざるを得ない、と初めて表明しました。

日本各地には、半島振興法の適用地域が23箇所あり、面積は全体の約1割を占めます。半島は三方を海に囲まれ、災害の際の避難経路の確保が困難なことから、所在の県には道路の強靱化など特別な対策が義務付けかられていますが、石川県は何もしていなかったことがわかっています。

テレビ画面からは1ヶ月が過ぎても体育館や集会所でプライバシーも確保されない中、身を寄せ合って寒さに震えている姿が映し出されます。災害大国でありながら、防災対策、被災者対応が一向に改善しないのに、防衛費ばかりが膨らんでいく政策に怒りしか感じません。

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お待たせしておりました、まんが紙芝居「原発と人類」が完成しましたのでお披露目いたします。是非拡散してください。
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まんが紙芝居「日本の進むべき道」
2019年4月に行われた小泉純一郎元首相の「日本の歩むべき道」講演を元に構成しました。(データは2023年7月現在のものです)是非SNSなどで拡散してください。
https://genjiren.com/2023/09/02/anime_roadforward_japan/https://genjiren.com/

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河合弘之さんが2回読んだと大絶賛しました。

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被災者置き去りの能登半島地震──即刻見直すべき「原子力災害対策指針」

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地震と共に2024年が始まりました。能登半島の先端珠洲市は最も被害が大きく、道路も分断され孤立した集落が多い地域でした。珠洲原発が建設されていなくて良かったと、真っ先に思いました。

身を寄せ合って暮らしていた地域の人びとを分断し、挨拶もし合えない憎しみを残した28年間の闘い。NNNドキュメントの映像をご覧ください。
https://www.dailymotion.com/video/x2e3fj8

全国には珠洲をはじめ、原発建設を拒否した、拒否し続けている町が64箇所もあります。原発は建設されても、建設が中止されても放射能の被害の前に地域の人びとの心を蝕んでしまうのです。「地域振興・地域発展・生活向上」という美辞麗句で。

3.11直後原発事故の被災地で闘った双葉郡の消防士たちを取材した書籍「孤塁」で日本ジャーナリスト会議賞を受賞した吉田千亜さんから記事
被災者置き去りの能登半島地震──即刻見直すべき「原子力災害対策指針」

をいただきましたので、お読みください。最後に吉田千亜さんの書籍もご紹介いたします。2月には子ども向けの書籍も出版されますので、是非お子さんやお孫さんへ手渡してください。

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被災者置き去りの能登半島地震──即刻見直すべき「原子力災害対策指針」

能登半島地震で亡くなられた被災者のご冥福をお祈りし、被災された方にお見舞いを申し上げたい。
2024年は悲しい災害からはじまったが、東日本大震災や熊本地震などと比べても、政府の災害対応が劣化している。災害や原発への危機感、被災者への共感力も乏しくなったように感じる。まず、時系列に見ていきたい。

致命的だった初動の遅れ
1月2日、自衛隊派遣は初動でわずか1000人。航空局が早々に能登半島全体を緊急用務区域に指定し、ドローンが飛ばせなくなった。3日からは関東圏ではテレビが報じなくなった。正月の番組編成のせいかL字テロップすら消えた。
4日頃から報道が少しずつ戻る。石川県と北陸地方整備局は被災地での人命救助や復旧作業を進めるため、能登地方への一般車両の移動を控えるよう協力を呼びかけ。この頃からSNSでは「ボランティアは能登半島に行くな」「迷惑だ」の嵐。一方、岸田首相は『BSフジLIVE プライムニュース』に出演し、総裁選について笑顔で語った。

5日、岸田首相は防災服にバラを付けて3つの新年会(経済3団体、連合、時事通信社)に参加。同日、馳浩石川県知事は県災害対策本部員会議後の取材に「親戚を見に行きたい、炊き出しに行きたい気持ちはわかるが、車で駆けつけることはやめてほしい」と強調。また「県道国道のひび割れで段差が10センチから1メートルくらいあって進めない」「自衛隊のヘリの、空の部隊で運ばざるを得ないということがよくわかりましたので」とテレビ金沢が報じると、「(把握が)遅すぎる」とSNSで批判された。

6日、自衛隊派遣人数は5400人。熊本地震では発災5日後には2万人を超えていた。自衛隊幹部は「一番起きてほしくない場所で起こった」と毎日新聞に語ったが、対応の遅れは、地形だけのせいではないように思えた。

7日、本来予算対応に動くべき与党・小泉進次郎衆議院議員が街頭募金活動のパフォーマンス。千葉県では、陸上自衛隊第1空挺団が8カ国合同で「降下訓練始め」を実施。まさに空からの支援こそが被災地で求められていたが、「貴重な訓練機会だから中止せず実施した」という。

8日には、なぜこれほど道路復旧が遅れているのかと問われた七尾市の建設業者が「行政から発注を受けないと工事ができない。公の道だから自分たちで勝手なことはできない」とNHKの取材に答え 、発注が後手に回っている可能性も示唆された。

9日、ようやく閣議で今年度の予備費から47億3790万円を支出することを決定(後に1000億円)。発災13日後になり岸田首相が被災地を視察、馳知事すら初の訪問だった。1月23日時点で死者233人、災害関連死は15人。安否不明者は19人と発表された。

ここまで被災地の人々が初動から見捨てられるとは思わなかった。これらを踏まえ、原発避難について考えたい。

不信つのる志賀原発の対応
東北大学災害国際研究所が9日、緊急開催した令和6年能登半島地震に関する速報会では、能登半島真下の活断層群が動き土地が4m隆起したことについて「3〜4千年に1度の大ごと」と発表された。今回の津波は陸地の近いところで発生し、珠洲市では、地震発生の1分後に第1波が押し寄せるなど、到達が早かった。津波は能登半島を回り込むように伝わり、弧を描く終着が志賀原発付近となるシミュレーションも披露された。

能登半島の大地震と聞き、人々は当然志賀原発を案じた。今回の震源はまさに志賀原発直近。地震から1時間半後に3メートルの津波が襲来も、9日まで「水位上昇」の言葉でごまかし、漏れた油は3500リットルから5倍強の約2万リットルと修正。10 日には新たな油漏れも報じられた。直後は計測不能のモニタリングポストも14ヶ所に上った。

幸い稼働していない原発であったため現時点で事故の報道はない。しかし放射能漏れを起こすような原発事故が起きた場合、避難は相当厳しい。

9日時点で22地区、3千人以上が孤立し、例えば石川県珠洲市大谷町では、携帯電話の通信状況の改善にはほど遠く、防災無線もラジオの電波も届かないと報じられた。情報もなく、道を寸断されている地域は、文字通りの「孤立」だ。

原発からの避難は不可能
避難はまず「情報」だ。携帯電話は、一部エリアでは復旧したところもあるが、発災9日後の10日午後になっても通信障害が継続している(ケータイWatch)。
次に「移動」だが、図に示した通り、道路の通行止め、しかも主要幹線道路の寸断が激しく、志賀原発だけでなく、柏崎刈羽原発も厳しい状況があった。

さらに避難計画では、UPZ(30キロ圏内)の住民は、PAZ(5キロ圏内)の住民が避難するまで、「屋内退避」で待て、とされている。いま能登半島で「屋内」を確保できている人がどれほどいるだろうか。

ちなみに、奥能登の高齢化率は高く、令和2年で48・9%。令和4年度のUPZの住民を調査したところ、避難時に福祉車両を要する避難行動要支援者数(推計値)は、車いす用で1236人、寝台用で340人とある。一般住民ですら避難が不可能なのに、避難行動要支援者の福祉車両がくるとは思えない。

また、地震直後はガソリンがないというSNSの投稿も多かった。10日時点で7割のガソリンスタンドが回復したというが、大型タンクローリーによる燃料の輸送が始まったのは5日からだ。

原子力規制委員会の山中伸介委員長は、10日、原発で重大な事故が起きた際の対応を定めた「原子力災害対策指針」を見直す必要があるか検討する、と記者の質問に答えた。悠長に「見直しの検討」などと言っている場合ではなく、根本から見直すべきだ。

そもそもこれほど災害の多い日本で原発の存在自体が無理だ。それは、13年前にすでに明らかになっていたのではなかったのか。
(『女のしんぶん』 2024年1月31日号より転載/ライター・吉田千亜)

吉田千亜さんの書籍
*『孤塁 双葉消防士たちの3.11』岩波書店、岩波現代文庫もあり
*『ルポ母子避難―消されゆく原発被害者』岩波新書
*『その後の福島:原発事故を生きる人びと』人文書院
*『原発事故、ひとりひとりの記憶―3.11から今に続くこと』岩波ジュニア文庫2/22発売

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前回ご案内しましたまんが紙芝居「日本の進べき道」に続き中川秀直さんの「人類と原発」は現在製作中です。近日中にお届けできると思います。

まんが紙芝居「日本の進むべき道」
2019年4月に行われた小泉純一郎元首相の「日本の歩むべき道」講演を元に構成しました。(データは2023年7月現在のものです)是非SNSなどで拡散してください。
https://genjiren.com/

書籍ご紹介
*『なぜ日本は原発を止められないのか?:「安全神話」に加担した政・官・業・学そしてマスコミの大罪』青木美希著 文藝春秋
河合弘之さんが2回読んだと大絶賛しました。

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書籍を販売しております。

*『なぜ日本は原発を止められないのか?:「安全神話」に加担した政・官・業・学そしてマスコミの大罪』青木美希著 文藝春秋 (送料含め1100円)
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久々の配信になります。メルマガ配信のシステムが変更になり、前回配信されなかった方が大勢いたため、何度も配信するなどの不手際がありました。その後名簿の整備をしていただきました。ご心配をおかけしました。

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まんが紙芝居「日本の進むべき道」

関東大震災から100年。9月1日が「防災の日」になったのは関東大震災に起因すると知らない人が43%もいるという報道に驚きました。戦争も震災も、そして原発事故も風化させてはいけません。語り継いでいくのは体験した者たち、残された者たちの使命です。

原自連では、毎月幹事会を開催、専門家をお招きしての学習会や議論を行なっておりますが、わかりやすい発信をしていくために、「まんが紙芝居」を順次発表していくことにしました。

まずは、顧問である小泉純一郎元首相にとる2019年4月に行われた講演会「日本の歩むべき道」講演を元に構成しました。(データは2023年7月現在のものです)是非SNSなどで拡散してください。
https://genjiren.com/2023/09/02/anime_roadforward_japan/

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汚染水の海洋放出を中止し、汚染水を増やさない、流さない方法を

木村結

東京電力福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質は、気体状のものを除いて52京(京は1兆の1万倍)ベクレルと推定されている。風で陸側へ飛んだ放射性物質の約7割は、福島周辺の森林に降り注いだ。森林は大部分が「除染」されていない。放射性物質は自然に「崩壊」しつつも一部は樹木や土、水、動植物の間を循環しており、住民の生活にも影響を残している。

これは、読売新聞オンラインの2021年3月4日の記事ですが、私たちは常に「福島原発事故は続いている」という認識に立っていなければいけません。原子力非常事態宣言は発令されたままです。

東電は、40年で廃炉を完了するという工程表を見直していないため、「40年廃炉」が既成事実であるかのように報道されており、後30年で廃炉が完了すると信じている方もいるようです。「アルプス処理された処理水」を30年間海洋放出すると発表し、地元の住民や世界各国の市民の反対を無視して強行しました。

30年間で放出が終了する、海洋放出しか方法がない、トリチウムは基準値以下であるとメディアは報道していますが、地下水とデブリの接触を食い止めるために地下水バイパスを作ることもせず、アメリカの核施設で実績のあるモルタル固化などの方法も検討せず、安易にコストの安い海洋放出に固執しているのです。

また、直接核燃料と接触していますので、トリチウム以外の62種類の放射性物質も汚染水には含まれています。世界諸国から反対されているのに海洋放出を強行し、中国からの海産物の輸入禁止などの反発を想定していなかった政府。海洋放出なら34億円で最もコストが安いという計画でしたが、風評対策に既に200億、そして設備費も膨らんで437億(東電2021年)安易な方法は日本の孤立を招き、費用も膨大に膨らみます。

今からでも遅くありません。福島漁業関係者も訴訟に立ち上がります(9月8日予定)海洋放出を中止し、モルタル固化など、研究者や市民が提案している地球環境に配慮した解決策を検討すべきだと思います。メディアも海洋放出が前提のような報道ではなく、汚染水をこれ以上出さないための根本解決策も含め、世界の叡智を集めることに協力して欲しいと考えます。

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