自然エネルギー100%のドイツ・ユンデ村で民主主義を考えた

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★メールマガジン★☆★☆★☆★☆★☆★
┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓     第51号
2019/11/19

★ 原自連(原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟) ★    ★―――――――――★
┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┛     http://www.genjiren.com
★☆★☆★☆★☆★☆★メールマガジン☆★☆★☆★☆★☆★☆☆★☆★☆★☆★☆★☆★

☆新作☆
☆☆短編映画『東電刑事裁判 不当判決』が完成しました☆☆
https://www.youtube.com/watch?v=VY-iMQsxkNU

☆目次☆
自然エネルギー100%のドイツ・ユンデ村で民主主義を考えた (木村 結)

アニメ『天気の子』から解る原発のこと
―どうして私たちは立ち上がるのかー      (小宮 武夫)

‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡

自然エネルギー100%のドイツ・ユンデ村で民主主義を考えた
木村 結

2011年、福島の原発事故を観て脱原発の方針を加速させたドイツ。そのドイツにあって「ユンデ村に続け」と言われた、ドイツのほぼ中央に位置するユンデ村を9月30日に訪問しました。

ユンデ村の名を有名にしたのは、ゲッティンゲン大学の自然エネルギーの地産地消実験に応募したことがきっかけです。

2000年の募集から、村民は何度も何度も話し合いを重ねていきました。自然エネルギーについて、バイオマスについて理解するところから始まったのです。ゲッティンゲン大学とのプロジェクトに参加し、メンバーとなる世帯の名前が重ねられていきました。そして50%としていた目標を大きく超える70%の世帯の賛同で2005年にプロジェクトはスタートしたのです。

村民750人、7軒の農家、牛450頭、豚200頭、森林800ヘクタール、農地1500ヘクタール、年間降水量800ミリメートル、平均気温10.5℃。村民資金は50万ユーロ(1ユーロは約120円)、国からの補助金150万ユーロ、銀行からの借入れは330万ユーロのスタートでした。評議員や技術者、環境専門家、代表者などチームの構成やスタッフ全てが平場で話し合われて決められました。メンバー全員が同額1500ユーロを出資し、ひとり1票を行使できるという公正なルールも決めました。

ユンデ村ではバイオガスが中心で、酪農で出た糞尿に農地で不要になったトウモロコシの茎、雑草を細かくカットしたものなど混ぜて発酵させます。そこから出たガスで発電し地元の電力会社に販売。また余剰熱源でお湯を沸かし全家庭に廻らせたパイプで循環させ寒いドイツの家庭を温めます。

森林は、二酸化炭素を吸収してくれる他、間伐材は木材チップとして、乾燥させてから燃焼プラントで利用されます。ここで出た廃棄物は植物の肥料として使われ、ユンデ村の中での見事な循環ができています。

家畜の糞尿や食品廃棄物、木材廃材などを直接燃焼して蒸気でタービンを回す日本で主流のバイオマス発電と異なり、バイオガス発電は、ユンデ村で行われているように、有機ゴミを発酵させて可燃性のバイオガスを発生させてガスエンジン発電機を回す仕組みのため殆どCO2が発生しません。

また、プラント設備がシンプルなため導入コストも少なく、メンテナンスもしやすく、維持管理も楽なのです。
さらに、太陽光や風力発電と異なり、天候に左右されず、24時間有効利用できることも大きなメリットです。有機ゴミの有効利用になり、ゴミの量が減り、燃焼費用を削減することもできるのです。

ユンデ村は、単独でエネルギーの100%循環ができる点で、実験農場としてピッタリだった訳です。

実は、私たちは、ユンデ村の最後の訪問者だと聞かされます。地元紙の記者の取材を受け、案内のブリンクマンさんと一緒に写真も撮られました。

ユンデ村がスタートしたのは2005年10月。2025年まで20年の計画でしたが、機材などに投資しなければならない事態になり、あと5年のために再び借金をして続けるか、それとも買いたいと名乗りを挙げている企業に売却するか、話し合いを重ねきたとのこと。そして訪問する3日前に、疲れたからリタイアしたいという人々の声を尊重して売却することに決定したというのです。ユンデ村を推薦してくださった方から訪問希望のメールを出していただいてもお返事が来ず、諦めようかと思った時にようやく連絡が来たのですが、まさか最後の訪問者になるとは。大学の研究職をリタイアしてから案内係として事務所を管理していたブリンクマンさんは、この話になると感極まったご様子でした。

今回の旅のテーマは「ドイツと日本の違いはどうして生まれたのか?」
それは、戦争の責任の取り方と、男女格差、それが原発事故を起こしても原発をやめられない日本と、対岸の火事と思わず、原発からの撤退を早め、着実に自然エネルギー導入を進めているドイツの違いとなって現れているのですが、民主主義が国民のものになっているか否かも大きな要因であったことを知ることとなりました。「ドイツではどんなことでも簡単には決めないの」。路上喫煙の煙に辟易して、今回の旅に多くのアドバイスをくださったヘロルド比呂子さんが言った言葉です。吸う人の主張も含め、双方の意見を出し合い立場を尊重して、合議するまで議論を尽くすことを優先するため、法律で簡単に決めることはしないとのこと。

「民主主義は、少数意見の尊重があってはじめて生かされる」と考え、日本での少数意見の尊重が形だけのものになってしまっていることを民主主義の危機だと発言してきましたが、民主主義とは、私が想像していた以上に時間が掛かることであり、少数意見の人をリスペクトできるかどうかを試される制度でもあり、人そのものを鍛えてくれる制度なのだと感じました。

以前から子どもたちにホームルームの時間内で結論を出させる日本の学校教育が様々な問題の根源だと思っていましたが、既に社会全体が、少数意見は言わせるだけ、最後は多数決で決めることを当然だと思ってしまっている、多数で有無を言わせない、効率性を優先する病に、私も蝕まれているのだと思い知ることになりました。

‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡

アニメ『天気の子』から解る原発のこと
―どうして私たちは立ち上がるのかー
小宮 武夫

核時代の戦争に勝者はいない。起こったら人類の絶滅は確実だから。核で敵を威圧する核戦略も下等な茶番劇であることを権力者は重々承知している。今や威嚇の対象は支配下の人民。平和利用というお題目でもっともらしく作られた原発も元を正せば容易に転用可能な核兵器であることはもはや常識である。

その本性が、暴露されたのが日本の第二の敗戦と云われる福島の原発事故。広島以来再び武器として牙を剥き、人々は無抵抗に破れた。

新海監督の新作アニメ『天気の子』は福島以降の私たちの敗戦を考えさせる傑作だ。舞台の東京は、憂鬱な雨が止まず、祈りで晴れ間を呼ぶ異能の少女の物語だ。

この降雨の有様は尋常ではない。おそらく、新海はいまも降りつづける目に見えぬ放射能をこのアニメで止まらない長雨に表現したのではないだろうか。もはや人々の生活に当たり前のように日常化している核の危機。そんな危機感を雨や洪水で映像化したのだ。主人公が天気を祈ることは原発ゼロを祈願することに通じ、やがて主人公たちが事件に巻きこまれ追いつめられていくプロセスは私たちも身につまされる。テロリストでもない普通の若者が排除されていく恐ろしさをアニメは訴える。

しかし、原発とは元々核と同じく人々を拒絶し、内部の人間さえ疑い、ダーティな人殺しの闇を、地球破滅という悪を、秘密と威圧で抱えこんでいる伏魔殿
なのだ。これに立ち向かおうとする者は鼠一匹でも排除されるのだ

前作『君の名は。』で新海は福島の事故を小惑星の衝突に表現をかえる。主人公たちは村民に衝突の危機を訴えながら、時空を超えて求め合い愛を確認しようとする。それはちょうど、突撃に出発する特攻隊員がありったけの愛を恋しい人へ手紙に注いで、死に場所を定めたのと同じだ。
まるで愛する人に対する殉死とでも云える主人公たちの生き様。これ以上の反原発の抗議はあるだろうか。反戦の抗議はあるだろうか

福澤諭吉は150年以上も前に『学問のすすめ』(七編)でこう述べている。政府の暴力に人民はいかに抗するか。最良の策は「一寸の兵器を携えず、片手の力を用いず、唯正理を唱えて政府に迫ることなり」「世を患いて身を苦しめ、或は命を落とすものを西洋の語で『マルチルドム』と云う」。愛するもののため信念を持ち殉死をも辞さない抵抗を彼は唱えている。

まさに新海アニメの主人公の生き様は福沢が唱えた抵抗と共鳴するのだ。
西南の役で西郷が非難轟々と浴びせられた時、福沢ひとり西郷に同情し、また新政府に鞍替えし平然と敗者を捨てた勝や榎本を難じたのも、信念をもって抵抗に殉じる士魂こそ日本の独立に欠けていると、将来を案じたからだ。

敗者(敗戦)に百の魂あり。私たちは殉死覚悟で人を愛し家族を愛し地域を愛し、一身一国を独立させる第一歩、原発ゼロを闘おう。

‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡

☆吉原毅 講演会   11月28日(木)滋賀大学

☆小泉純一郎  講演会 12月1日(日)薩摩川内市
☆小泉純一郎  講演会  2020年1月25日(土)群馬県沼田市
☆小泉純一郎  講演会  2020年3月15日(日)新潟県柏崎市

メールにてお問い合わせください。

★団体個人を問わず会員を募集しています。(登録、会費など無料
ホームページからご登録お願いいたします。
http://genjiren.com/ml_application.html

(1)     代表者名(ふりがな) (2)団体名(ふりがな) (3)個人参加者名(ふりがな) (4)電話番号 (5)メールアドレス (6)郵便番号(地域分けに必要です)
問い合わせは下記連絡先にございます。
http://genjiren.com/contact_new/
トップページはこちらです。
http://www.genjiren.com

★集会などで、当会のリーフレットを配布してください。10部単位で受け付けます。送り先などご明記の上、メールにてご用命ください。
http://genjiren.main.jp/wp-content/uploads/2018/11/gnjrn_lf_prnt.pdf

★原自連は会費をいただかず、寄付のみで運営されております。
領収書が必要な方は、ご送金の上ご連絡ください。
(任意団体のため税金の控除の対象にはなりません)
城南信用金庫 営業部本店 普通預金 849353
原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
原自連(原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟)
事務局次長 木村結
〒160-0003 東京都新宿区四谷本塩町4-15新井ビル3F
TEL 03-6883-3498 FAX03-6709-8712
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★★☆★☆★☆★☆★☆★☆★